2017年8月4日14時42分
 名古屋城天守木造化に向けたハードルの数々に、名古屋市が苦悩している。8月に石垣発掘調査を始める計画だが、国の許可を得るどころか書類さえ提出できていない。建築基準法や消防法も満たす必要がある。目標の「2022年末完成」は達成可能だろうか。

 市は木造化に先立ち、天守の石垣の強度が十分か、発掘調査を予定している。名古屋城は国特別史跡のため、発掘のような現状変更を伴う調査をする場合、文化財保護法に基づき文化庁の許可を得る必要がある。

 市は7月4日、発掘調査の許可を文化庁に申請しようとしたが、受け付けてもらえなかった。市も文化庁も「書類上の不備」と説明するが、1カ月近く経っても申請は済んでいない。

 市が木造化事業に着手したのは5月。手始めの発掘調査の手続きが遅れに遅れている要因の一つが、石垣に詳しい有識者の反発だ。

 石垣は総延長約8キロ。加藤清正が築いた天守台の高さは約20メートルに及ぶ。経年劣化や戦災による傷みから、石垣の保全や修復は木造化決定以前からの課題だ。

 市が設けた有識者会議の石垣部…

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http://www.asahi.com/articles/ASK7N76BJK7NOIPE023.html
名古屋城の天守と天守台。名古屋市は文化庁の許可を得て、石垣周辺を試掘して地盤を調べたい考えだ=名古屋市中区
http://www.asahicom.jp/articles/images/AS20170803001086_comm.jpg
名古屋城天守と天守台。天守木造化と石垣保全の両立が大きな課題になっている=名古屋市中区
http://www.asahicom.jp/articles/images/AS20170803001085_comm.jpg