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ICBM=大陸間弾道ミサイルの開発を進める北朝鮮がウクライナの工場から闇市場を通じて旧ソビエト製のロケットエンジンの入手に成功した結果、技術を急速に進展させた可能性があると指摘されたことを受け、ウクライナのポロシェンコ大統領は、関係機関に調査を行うよう指示を出したことを明らかにしました。

アメリカのロケット技術の専門家で、IISS=国際戦略研究所のマイケル・エルマン氏は14日、北朝鮮のICBM級の「火星14型」などについて、旧ソビエト製のロケットエンジン「RD250」の改良型が使われている可能性が高いという分析結果を発表しました。

それによりますと、このエンジンは、旧ソビエトのウクライナの工場から闇市場を通じて北朝鮮に流れ、北朝鮮は、このエンジンの入手に成功した結果、技術を急速に進展させた可能性があると指摘されています。

こうした指摘を受けて、ウクライナのポロシェンコ大統領は16日、フェイスブックに投稿し、「ウクライナに対するばかげた非難に見えるが、北朝鮮にエンジンが提供されたかのような情報は注意深く検証しなくてはならない」として、関係機関に対し、調査を行ったうえで3日以内にその結果を報告するよう指示を出したことを明らかにしました。

一方、このエンジンの製造に関わったウクライナ国営の宇宙開発企業のミハイル・ボンダリ社長代行は15日、「論文の中で強調された部分は全くのでたらめだ」と述べ、北朝鮮のミサイル開発との関わりを強く否定しています。

「RD250」と北朝鮮

「RD250」は、液体燃料式のロケットエンジンで、旧ソビエトのICBM=大陸間弾道ミサイルや宇宙ロケットに使われてきました。

「RD250」の製造に関わっていたのは、ウクライナ東部の工業都市ドニプロにある国営の宇宙開発企業で、ウクライナ情勢をめぐる対立で、主な取引先のロシアとの取り引きが停止すると経営環境が厳しくなり、おととしには、工場の労働者による給与の支払いを求めるデモが繰り返し起きていました。

一方、ウクライナの治安問題に詳しい議員によりますと、工場では、2011年、北朝鮮国籍の2人がロケット技術に関する文書を盗み出そうとして、治安当局に摘発され、懲役8年の有罪判決を受けたということで、北朝鮮がウクライナの技術に強い関心を寄せていたことがわかっています。

こうしたことから、アメリカのロケット技術の専門家のマイケル・エルマン氏は経済的に苦しい状況に置かれたウクライナの工場の労働者が武器の密売業者に利用され、「RD250」が闇市場を経由して北朝鮮に流れた可能性を指摘しています。

8月17日 7時12分