◇県中南部と関空直結 物流・観光に期待

 京都、奈良、和歌山の3府県を結ぶ京奈和自動車道(約120キロ)のうち、大和御所道路の御所南インターチェンジ(IC)―五條北IC(7・2キロ)が19日、開通した。これで橿原高田ICから和歌山ジャンクション(JCT)までの61・7キロがつながり、関西空港とも直結されることから、県内の物流や観光面への効果が期待される。(岡本輝之、夏井崇裕)

 県企業立地推進課によると、近年は京奈和道の開通を見越し、県中南部の工業団地への企業進出が加速している。五條市の南大和テクノタウンでは2014年度以降、金属加工会社の工場など4社が操業を開始・予定。葛城市や田原本町にも、15年に化粧品やカット野菜製造工場が進出した。

 同課の担当者は「精密機器メーカーなど、関空の航空貨物を利用する企業にもPRしやすくなる」と開通を歓迎。荒井知事も定例記者会見で「京奈和道の開通と企業立地、雇用確保は連動している」と指摘した。

 観光面でも、関空から入国し、世界遺産の高野山(和歌山県)や吉野山(吉野町)、橿原市、明日香村などを周遊する外国人客が増えそうだ。

 残る区間のうち、橿原北IC―橿原高田IC(4・4キロ)が開通すれば、西名阪自動車道と交わる郡山下ツ道JCT以南の75・5キロがつながり、大和郡山市以南は名古屋方面から和歌山県まで直通となる。

 ただ、同JCT以北の12・4キロの完成時期は未定。特に京都側の出入り口となる奈良IC―木津IC(6・1キロ)は、まだ事業化できていない段階だ。

 ◇県内初のPA

 御所南IC近くには、京奈和道では県内初のパーキングエリア(PA)となる「御所南PA」が完成。開通式典は19日、同PAで行われ、地元住民や県内の自治体関係者ら約350人が出席した。

 池田豊人・近畿地方整備局長は「京奈和道は全体の73%が開通したことになる。広域の周遊がさらに進むだろう」と話し、荒井知事は「奈良の産業発展の素地ができ、ありがたい。残りの部分も早期開通が重要だ」と強調した。

 式典後、御所南ICでテープカットがあり、関係車両が五條北ICまで、通り初めのパレードを行った。

 同PA近くに住む主婦(69)は「周辺道路は朝晩の混雑がひどかったので、開通を待ち望んでいた。パーキングエリアもでき、多くの人が御所に立ち寄ってくれることになるだろう」と喜んでいた。

京奈和自動車道の整備状況
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2017年08月20日
YOMIURI ONLINE
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