http://www.sankei.com/smp/politics/news/170831/plt1708310016-s1.html
 内閣府は約10年ぶりに国内の「原子力利用の経済規模」を調査し、平成27年度ベースでは全体で約4兆4530億円と、前回17年度の約8兆8527億円からほぼ半減したとの試算をまとめた。東京電力福島第1原子力発電所事故後に停止した各地の原発の再稼働が進まない影響が出た。

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 原発などエネルギー分野は約832億円で、17年度比で約4兆6578億円の大幅減。一方で、工業、農業、医療など放射線利用分野は4兆3698億円で、約2581億円増えた。

 調査結果は国の原子力委員会が約7年ぶりに近く改定する原子力白書に盛り込む。事故後、原発への国民の関心が高まる中、生活と関わりが深い放射線利用の動向などを把握するデータがなかったため改定に合わせ調べた。

 経済規模は各分野の市場全体ではなく、出荷額のうち放射線を利用して製品を作った割合などで算出する。

 放射線利用では、エックス線撮影やがんの放射線治療など医療・医学関連は約1兆9094億円で、17年度比約3715億円の増加。半導体加工や建造物の非破壊検査など工業関連は約2兆2210億円で約742億円減少。イネの品種改良や、害虫駆除など農業関連は約2393億円で、約393億円の減少だった。

 27年度は九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)と関西電力高浜3、4号機(福井県)が稼働。九電は総発電量の14%、関電は0・8%をそれぞれ原発が占めていたとして計算した。