http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170901/k10011122891000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_016

大手広告会社「電通」が社員に違法な残業をさせたとして労働基準法違反の罪に問われている裁判は、今月22日に東京簡易裁判所で初公判が開かれることになりました。働き方改革の議論に大きな影響を与えた違法な残業について、法廷でどのような実態が明らかになるか注目されます。

電通は新入社員だった高橋まつりさん(当時24)が過労のため自殺したことをきっかけに捜査を受け、高橋さんなど社員4人に違法な残業をさせたとして、労働基準法違反の罪に問われています。

検察は非公開の略式の手続きで電通を起訴しましたが、裁判所は略式の手続きはふさわしくないとして、公開の法廷で正式な裁判を開くことを決めています。この裁判について、東京簡易裁判所は今月22日に初公判を開くことを決めました。

電通は「裁判所などの求めに応じて誰が出るのかを決めたい」としていて、山本敏博社長は7月に開いた会見で、みずから法廷に立つ意向を示しています。

裁判では検察が社員の労働時間の記録などを証拠として提出し、罰金刑を求めるものと見られます。働き方改革の議論に大きな影響を与えた違法な残業について、法廷でどのような実態が明らかになるか注目されます。
これまでの経緯
電通への一連の捜査は、おととし12月に新入社員だった高橋まつりさんの自殺がきっかけでした。厚生労働省は去年9月、過労が原因の自殺だったとして労災を認め、そのおよそ2か月後の去年11月、厚生労働省は電通の本社と大阪や名古屋などの支社を一斉に捜索し、強制捜査に乗り出しました。

そして、去年12月、電通などを違法な長時間労働をさせていた労働基準法違反の疑いで書類送検しました。

東京地方検察庁はことし7月、法人としての電通を労働基準法違反の罪で略式起訴し、罰金刑を求めましたが、東京簡易裁判所は公開の法廷での審理が必要だとして、正式な裁判を開くことを決定しました。

事件を受けて電通では、石井直前社長が去年12月に辞任を表明。この問題で会社として初めて公式に謝罪しました。後任の山本敏博社長はことし7月、長時間労働の是正に向けた改善計画を発表し、再来年度に社員1人当たりの労働時間を平成26年度の実績と比べて、20%削減することなどを目標に掲げ、会社全体で職場環境の改善に取り組むことを明らかにしました。

9月1日 20時03分