虐待を受けているとして全国の警察が今年上半期(1〜6月)、児童相談所(児相)に通告した18歳未満の子どもは3万262人だった。半期ごとの統計を取り始めた2011年以降6年連続の増加。年間で過去最多となった昨年の上半期を5751人(23・5%)上回った。警察庁が21日発表した。

 社会の関心の高まりが通告が増えた要因とみられる。全体の約7割を占めたのが暴言を浴びせるなど子どもの心を傷つける「心理的虐待」。前年同期より3割近く多い2万1406人だった。このうち、子どもの前で配偶者らを暴行したり罵倒したりといった「面前DV」が6割強の1万3859人に上り、右肩上がりで増えており、この統計を始めた12年上半期の5・7倍となった。

 「身体的虐待」が5723人(前年同期比698人増)で、「育児放棄」は3036人(同348人増)、「性的虐待」は97人(同32人減)だった。

 虐待があったとして保護者らを摘発したのは511件。殺人や傷害など身体的虐待が411件と8割を占めた。一方、心理的虐待は身体的な虐待に比べて立証が難しいとされ、前年同期より6件増えたものの、22件と摘発数の4・3%。刃物を示して「殺してやる」と暴言を浴びせたとして暴力行為等処罰法を適用したほか、部屋に閉じ込めた監禁容疑などがあった。亡くなった子どもは無理心中などを含め、前年同期より4人減の27人だった。

 通告とは別に警察が今年上半期、児相や市町村に情報提供したのは9952件で、前年同期より2555件増えた。警察庁は昨年4月、警察官が現場で虐待の疑いを認められないと判断したケースでも、児相や自治体と情報を共有するよう全国の警察に指示しており、情報提供の増加につながったとみている。

 また今年上半期に警察が自らの判断で保護した子どもは1787人。統計が残る12年以降5年連続で増えた。現場の警察官が緊急性や重大性が高いと判断した場合、警察官職務執行法に基づき子どもの安全を最優先に対応していることが背景にあるという。(浦野直樹)

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