日本ではほとんど普及していない家庭用の核シェルターが、にわかに注目を集めている。夏以降、米国のメーカーや国内の取扱業者には、前例のない勢いで注文や問い合わせが舞い込む。北朝鮮によるミサイル発射が相次ぎ、脅威を現実的に捉える人たちが増えたことが背景にある。(野上英文)

 「北朝鮮からの攻撃が心配だ。家族を守りたい」

 米テキサス州のシェルター製造販売会社ライジング・Sには夏以降、こんな電話が1日数本は必ず入る。大半は日本人や日本に家族がいる日系米国人からだ。

 2年前にはゼロだった日本向けの注文が、昨年は6件、今年は100件以上と急増した。うち71件の受注は7〜8月の2カ月間に集中。北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)や、北海道上空を通過する弾道ミサイルなどを発射した時期と重なる。

 「北朝鮮の標的となることを本気で心配する日本人が増えている。この商売を14年やっているが、こんなブームは初めて」。総支配人のゲーリー・リンチさん(45)は驚きを隠さない。

 販売するシェルターは地下に埋める鋼鉄製の箱形。NBC(核・生物・化学物質)災害対応の換気装置やトイレ、シャワー、台所、ベッドなどを備える。高さ2・1メートルで、6畳ほどの広さの最小タイプは、価格が4万5千ドル(約500万円)。米国ではブルーカラー層に人気だという。輸入や施工のための費用は別にかかる。

 特需は1社に限った話ではない。

 「今年に入って、注文は1千%(10倍)増。日本からも多く、勢いは止まらない」。米カリフォルニア州のメーカー「ビボス」の広報責任者バービ・グロスマンさん(45)は答えた。日本からの注文が増えた理由を聞くと、同じく北朝鮮の名前を真っ先に挙げた。

 こうした商機が広がると見込み、日本事務所や日本向けの製造工場を新設したメーカーもある。同州のアトラス・サバイバル・シェルターズだ。前身会社は1950年代に始動したが、冷戦終結で商売が下火に。6年前に再開したロン・ハバード社長(55)の元には今、米国内外からの問い合わせが途切れない。「売れ行きをみると、危機感が50年代に戻ったようだ。昔と違うのは日本向け販売がゼロから一気に増えたこと」

 日本事務所の坂口和弥さん(47)は、住宅メーカーと組んで新築時に地下シェルターを設置する計画を描く。ただ、話しぶりは慎重だ。本業は北米製ガレージの施工だが、今度は扱う商品が違う。「たくさん売れれば、それだけみんなが不安ということ。それって、いいことなんですかね」と複雑な心境を打ち明けた。

■国内普及率、02年で0・… 残り:1461文字/全文:2526文字

米メーカー「アトラス・サバイバル・シェルターズ」が販売するシェルターのイメージ。このタイプは新築時に地下に設置する
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米メーカー「アトラス・サバイバル・シェルターズ」が販売するシェルターのイメージ
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米メーカー「ライジング・S」が日本向けに販売する最小型シェルターの室内。6畳ほどの広さでベッドやNBC(核・生物・化学物質)災害対応の空調が装備されている
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畔取(くろとり)義彦さんがミサイル攻撃や津波から身を守るため自宅庭に設けたシェルター。内部には放射性物質などに対応した空気清浄機も入れている=和歌山市
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織部信子さんらが施工販売する地下シェルター内の居室。放射性物質に対応した空気清浄機(左)やドアの厚さが20センチの緊急脱出口などを備え、北朝鮮のミサイル発射を受けて注文が急増している=神戸市須磨区
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配信2017年10月4日11時34分
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