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【10月8日 AFP】80代と90代になった今も、2人の脚が生み出すタンゴのリズムにはぞくぞくさせられるものがあった。アルゼンチンの首都ブエノスアイレス(Buenos Aires)で今年8月に行われたタンゴ世界選手権のライバルたちも、この2人のタンゴが出場者の中で最も正統派のものであることを認めた。

 1940年代のタンゴ黄金時代にその踊り方を学んだオスカル・ブルスコ(Oscar Brusco)さん(90)とニーナ・チュドバ(Nina Chudoba)さん(82)は、最高齢クラスのタンゴのダンサーだ。

 背筋をしゃきっと伸ばし、今にも踊り出しそうなブルスコさんは、「私たちのダンスこそがタンゴの本質だ」と胸を張った。「私たちのタンゴは他とは違う。歩くにしてもクロスするにしても、(他のダンサーのように)脚を振り回すようなことは決してしないんだ」

 ポーランド移民の娘として生まれたチュドバさんは、ブエノスアイレス市内でも特にタンゴが盛んな地域、バレンティンアルシーナ(Valentin Alsina)で育った。若い世代が今もタンゴを踊っているのは喜ばしいことではあるが、タンゴ全盛期が懐かしいと話す。

「私たちは呼吸をするようにタンゴを味わい、タンゴと恋に落ち、タンゴと共に笑っていたの」とチュドバさん。「今の人たちが踊るタンゴはすべて同じに見えるけど、あの頃はそれぞれのダンサーが自分のスタイルを持っていたものですよ」

 チュドバさんは50代で夫を亡くした後、タンゴに入れ込むようになった。そんなときに出会ったのが、妻に先立たれたブルスコさんだった。

 2人は今も週に4回、タンゴのダンスパーティー「ミロンガ(milonga、タンゴの原型となったダンスの名)」に通っている。ブルスコさんは世界選手権出場の準備はそれで十分だったと語る。

「私は1945年からタンゴを踊り続けている。いったいどんなリハーサルが必要だって言うんだ? 私にはタンゴの蓄えがたっぷりあるんだ」

■観客は総立ち

 世界選手権で若い世代と競い合ったブルスコさんとチュドバさんはメダルを獲得することはなかったが、2人がステージに登場すると観客は総立ちになった。

 決勝に進んだフアン・マヌエル・ロザレス(Juan Manuel Rosales)さんと妻のリーザ(Liza)さんは、ステージに出る前に舞台裏で2人にあいさつをした。フアンさんは言う。「2人を見ていると、彼らがタンゴの一部であることが分かるんです。タンゴの真の全盛時代、国全体がタンゴを踊っていた1940年代を生きてきたのですからね」

 その近くでは、スーツに身を包んだ若い男性ダンサーたちが髪にジェルを塗り、往年のスターのような見事な口ひげを誇示していた。

「伝統は受け継がれています」とリーザさんは言った。「タンゴの本質が失われないように私たちが守っていきますよ」 (c)AFP/Sonia AVALOS

2017年10月8日 9:00 発信地:ブエノスアイレス/アルゼンチン

アルゼンチン・ブエノスアイレスで開かれたタンゴ世界選手権出場に備え、ダンスパーティー会場で踊るオスカル・ブルスコさん(右)とニーナ・チュドバさん(2017年8月18日撮影)。(c)AFP/EITAN ABRAMOVICH
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