衆院選(22日投開票)で、自民党の岸田文雄政調会長(60)、石破茂元幹事長(60)が11、12の両日、応援に相次いで九州入りした。衆院選は政権を担う政党を決める議席争いだが、「ポスト安倍」と目される両氏にとっては、一人でも多くの“同志”を国会に送り込む戦いでもある。(中村雅和)

 「この選挙で、どういった勝利を収めることができるか。それによって(候補の)将来が変わってくる」

 11日午後。岸田氏は佐賀市内で街頭演説した。佐賀1区で立候補する前職、岩田和親氏(44)の応援だった。岩田は岸田派(宏池会)に所属する。

 同じ場でマイクを握った佐賀選出の参院議員、福岡資麿氏(44)も「岸田氏にとって、宏池会の門下生は絶対に落とせない」と訴えた。

 岩田氏の陣営関係者は「党はもちろん、派閥にとっても重要選挙区だと聞いている」と語った。

 続いて岸田氏は、福岡7区に向かった。同区は、岸田氏の後見役である古賀誠元党幹事長の地盤だ。ここで岸田氏は、古賀氏の秘書を務めた前職、藤丸敏氏(57)の応援に立った。

 同区内の農協幹部は「岸田氏を次の首相にとの期待は、古賀さんや藤丸さんの周囲で大きい。藤丸氏は地元で『岸田政権なら自分は大臣だ』と公言している」と明かした。

 岸田氏は10、11日の2日間で5県を回り、計8人の応援に入った。このうち、岩田、藤丸両氏や香川1区の前職、平井卓也氏(59)ら5人が、岸田派所属だ。

 岸田氏は「自民党として、負けられない選挙だ。政調会長として全国に応援に入っている」と語った。

 岸田氏は長く、外相として安倍政権を支えた。8月の内閣改造・党役員人事では政調会長に就いた。

 それでも、ポスト安倍レースで抜きんでたわけではない。将来を見据えれば、派閥の勢力を拡充しておきたい。

 勝ち方で将来が変わるのは、候補者だけでなく、発言した岸田氏本人にも当てはまる。

■総裁選さながら

 もう一人のポスト安倍、石破氏も積極的に動く。衆院解散時の石破派(水月会)の所属議員は20人だった。党総裁選の出馬に必要な推薦人(20人)を、派単独で確保するには、石破氏本人を除き、あと1人だ。

 石破氏は派閥候補に加え、他派閥でも親交が深い候補を応援する。

 石破氏は12日夜、前職、三原朝彦氏(70)の応援で、福岡9区に入った。

 両氏は昭和61年の当選同期だ。ともに防衛政策に明るく、離党経験もある2人は馬が合うという。石破氏は10歳年上の三原氏を兄貴分として慕う。三原氏は額賀派に所属するが、周囲に「石破を総理にするまでは辞められない」と語る。

 三原氏はこの日、事務所で開いた集会でも、演説の大半を石破氏の人柄紹介に費やした。「次の時代のリーダーになれるか見定めてほしい」と訴えた。

 石破氏も約25分の演説のほぼすべてを、地方創生や安全保障など、自身が力を入れる政策分野に割き、さながら総裁選の演説のようだった。

 ただ、報道各社の調査では、選挙戦序盤は与党優位の情勢だ。このまま自民党が勝利すれば、来年の党総裁選で、安倍晋三首相3選の流れができる。岸田、石破両氏にとっては、ポスト安倍レースが遠のく。

http://www.sankei.com/images/news/171013/plt1710130013-p1.jpg
http://www.sankei.com/images/news/171013/plt1710130013-p2.jpg

配信2017.10.13 07:20更新
産経ニュース
http://www.sankei.com/politics/news/171013/plt1710130013-n1.html