巨星が寿命を迎え超新星爆発を起こした後に残る中性子星が、別の中性子星と合体する際に発生した重力波を初めて検出したと、米国などの国際チームが16日発表した。米欧3カ所の観測装置で8月に捉えた。重力波は2015年9月から4回検出されているが、いずれもブラックホール同士の合体で生じたものだった。

 今回の現象は日本のすばる望遠鏡(米ハワイ島)など各地の天文台、人工衛星でも観測され、発生場所は南半球で見えるうみへび座の方向に約1億3000万光年離れた銀河「NGC4993」と特定された。さらに、中性子星同士の合体によって金やプラチナなどの鉄より重い元素ができたとの説が、初めて観測で裏付けられた。

 検出は日本時間8月17日午後9時41分。米国2カ所にある観測装置「LIGO(ライゴ)」と、イタリアにある装置「Virgo(バーゴ)」で検出した。解析の結果、直径わずか約20キロで質量が太陽の1.1〜1.6倍ある超高密度の中性子星同士が、合体する際に発生した重力波と分かった。

 重力波の検出は約100秒間続いた。直後にはX線よりエネルギーの高いガンマ線の爆発的な放出現象「ガンマ線バースト」が、米フェルミ宇宙望遠鏡などにより観測された。続いて南米などの天文台や衛星が、目で見える光や赤外線、電波、X線で観測し、鉄より重い元素の放出が確認された。

 宇宙が約138億年前に誕生した際は、水素やヘリウムのような軽い元素しかなかった。その後、恒星が寿命を迎えて超新星爆発を起こすまでの核融合で、鉄までの元素が生成され、鉄より重い元素は中性子星の合体で生じたと考えられている。

 アインシュタインが約100年前に予言した重力波は15年9月に初めてLIGOで検出され、チームを率いた米研究者3人に今年のノーベル物理学賞が授与される。 

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