福井県池田町の町立池田中学校で今年3月、2年生の男子生徒(当時14歳)が自殺した問題で、叱責しっせきを繰り返していた副担任について、担任が「生徒と2人きりにさせないようにする」と、家族に2度約束していたことがわかった。

 しかし、副担任はその後も生徒を叱責しており、第三者調査委員会は「担任は、副担任と話し合うなど問題解決に向けた適切な行動をとらなかった」と批判している。

 調査委の報告書や生徒の家族によると、副担任は生徒が小学校6年のときにも家庭科の講師として指導。生徒はミシンがけの学習で居残りをさせられ、帰宅のバスに乗り遅れたことがあり、家族に「副担任は嫌だ」と話していた。

 生徒は昨年5月、宿題を出せなかったことについて、「副担任が言い訳だとして聞いてくれない」と登校を拒んだ。担任は家庭訪問した際、祖母から「孫が宿題のことを副担任に伝えるときは、そばで見てほしい」と頼まれ、「2人きりにならないように見ていきます」と答えたという。

 しかし、副担任は昨年11月と今年2月、生徒に「やる気がない者は宿題を出さなくていい」などと言い、生徒は土下座しようとしたり、登校しなくなったりした。2月のケースでは、担任が家庭訪問時に母親に対し、「副担任は私がきちんと見ます。2人きりにならないよう注意します」と再び約束。だが、担任は副担任に特段の指導はしなかった。

 調査委は「担任は対応を約束していたが、適切な行動をとらなかった」と指摘。その一方で、副担任とともに厳しい指導や叱責を繰り返し、生徒は逃げ場のない状況に追いつめられたと結論づけている。

 母親は16日、取材に「担任が副担任を監視し、息子をしっかり見てくれていると信じていた。約束を破られた。息子に対し、後悔の念でいっぱい」と涙を流して話した。

http://yomiuri.co.jp/national/20171017-OYT1T50050.html