北朝鮮のミサイル問題が連日報道される中、ミサイルの飛来に備えた防災訓練が全国各地の自治体で相次いでおり、学校でも児童らが訓練を行う様子がたびたび伝えられている。実際に訓練はどのように行われているのだろうか。今月、訓練を行った奈良市内の小学校の様子をのぞいてみた。

アラートからミサイル通過までたった4分 人はなぜすぐに行動できないか

■「北朝鮮による弾道ミサイル発射に係る対応」通知を受け実施

児童らは真剣な表情で訓練に臨んでいた
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奈良市の「帝塚山小学校」では今月12日、この北朝鮮ミサイル発射に備えての防災訓練を実施した。同小学校では2年前から防災訓練に毎月取り組んでいるが、今回は文部科学省からの「北朝鮮による弾道ミサイル発射に係る対応」という文書通知を受け、こうした訓練を初めて実施した。

池田節校長は「これまでの防災訓練は校舎からグラウンドへ出る訓練ですが、ミサイル発射に備えての訓練は校舎に入ります。ぜんぜん違うので、並行してやっていかないといけない」と話す。

文部科学省は、今年9月に北朝鮮が発射した弾道ミサイルが日本国内に落下した場合に備え、全国の学校に危機管理マニュアルの見直しなど自治体と連携した避難訓練の推進を求める文書を都道府県教育委員会などに送っている。

■原則月1回の「抜き打ち」の防災訓練を行ってきた

訓練開始後は、すべての活動をやめ安全な場所へ
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同校では2015年度より危機管理対策として、原則月1回の「抜き打ち」防災訓練を行ってきた。近い将来予想される「南海トラフ巨大地震」に対応すべく生き延びる力を児童に育成することを目的にしているが、ミサイル対応の避難訓練は今回が初めてだった。

同校では、すでに光で緊急事態を知らせる災害警告灯「エマージェンシーサイン・エマーブライト」を導入。これは、同校が事前防災・減災対策用の案内サインなどを製造する「つくし巧芸」(大阪市浪速区)に開発を依頼したもので、緊急地震速報が出されると、LEDライトが赤と緑に点滅して緊急事態を知らせ、音だけでなく、視覚で避難を促す目的だという。

これを廊下の天井や体育館の壁など16か所に設置し、停電でも光るようになっている。これまでは緊急地震速報の警報音を校内放送で流していたが「体育館や吹奏楽室は聞こえにくい」という課題が出たため、子どもたちが目で確認できるようにしたわけだ。

「これを活用した防災訓練は毎月1回、抜き打ちで行い、そのたびに改善を加え進化させています。さらに昨年の終わりから、児童が取り残されることも想定して訓練を行っています。それも先生が知っていたらダメで、取り残された児童は先生にも教えていません」(池田校長)

■課題解決のため視覚による警告サイン設置

授業中は緊急地震速報が聞こえるが、休憩時間は聞こえないという課題解決のために視覚による警告サインを設置した
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池田校長は防災訓練を始めた理由として「2011年東日本大震災が起こり、地震が起こった時には訓練こそ大事だということがわかり、2年前からより現実的な防災訓練を始め、最初は子どもたちに告知してやってましたが、それだと、いざという時に役に立たない」と話す。

また「授業中は緊急地震速報が聞こえるんですが、休憩時間などは聞こえない。1つ課題が出てきましたので、視覚による警告サインが必要だろうということで開発して頂きました。子どもが視覚でも緊急地震速報を感知できるシステムで、非常に効果的だと思います」と続けた。
 
>>2 以降に続く

配信2017.10.16 13:20
THE PAGE
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