大阪府守口市の女性(53)が、長男(19)の進学を理由に市が生活保護を一部カットしたのは不当として、府に審査請求している。国は保護を受けながら大学や専門学校に通学することを認めておらず、意欲があっても親の負担を考えて進学を諦める子どももいる。こうした制限が親から子への「貧困の連鎖」の原因とも言われており、国も対策に動き出している。

 女性は15年前、夫と離婚。当時3歳の長男と2人暮らしを始めた。養育費はもらえず、幼子を育てながら働ける会社も見つからなかったため、生活保護を受けた。

 長男は小学2年のときに発達障害と診断された。他人の言葉を聞き取るのが苦手だ。だが、絵を描くのは大好きで、小4のとき、絵画コンクールで入選。以来、将来の夢を聞かれると「絵を描きたい」と口にするようになった。

 中学卒業時は支援学校への進学を教師に勧められたが、イラストを学ぶコースがある大阪市内の高等専修学校を選んだ。3年間、ほぼ休まず登校し、今年4月、系列の専門学校に入学した。

 女性は長男が大きくなった後は事務などの仕事をしてきたが、収入は不安定で、生活保護を受け続けた。しかし、守口市は3月、長男の進学を理由に母子2人分支給していた生活費を女性分のみと決定。生活費の支給基準は月約14万円から約8万円に減額された。特別児童扶養手当なども別に受け取っているため、実際に支給される保護費は多くても月数万円という。

 長男は「障害の特性上、コミュニケーションが不得意で就労は難しい」と診断されており、アルバイトもできずにいる。学費や長男の生活費を賄うため、月13万円の奨学金を借りているが、卒業時には借り入れ総額が500万円近くになり、返済の不安は募る。

 女性は6月、決定を不服として府に審査請求を申し立てた。市側は「制度に基づいた対応で、違法性はない」などとする弁明書を提出。今後は女性らが意見陳述する場が設けられる。

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