http://www.sankei.com/smp/life/news/171117/lif1711170024-s1.html
 千葉の手賀沼で水面を覆い尽くして周囲の植物を枯らし、治水上の懸念もある外来水生植物の繁殖が拡大している。約10年前に確認されたナガエツルノゲイトウに加え、今夏は「よりやっかい」とされる水陸両生のオオバナミズキンバイが、沼の西部地域で初めて見つかった。危機感を抱いた地元の市民団体などが立ち上がり16日、本格駆除に乗り出した。(江田隆一)

 ナガエツルノゲイトウは南米原産のヒユ科の多年草。平成元年に兵庫県で見つかり、特定外来生物に指定されている。印旛沼流域での拡大が著しく、水面を漂って排水機場の作業をまひさせることもあり、県はボランティアなどの協力で定期的な駆除を行っている。手賀沼でも排水機場に流れ着いたりボートの営業ができなくなる被害が出ているという。

 この夏に初めて見つかったオオバナミズキンバイは、南米・北米南部原産のアカバナ科の多年草。他の植物を圧して短時間で高く成長する。光を遮ってナガエツルノゲイトウさえ枯らすとされる。水から離れても生きられ、水田耕作地への侵入が懸念される。葉や茎からも根をのばし、駆除後の仮置き場も定着場所になってしまうという。

 10年ほど前から西日本地域で拡大し、特定外来生物に指定された。21年に見つかった琵琶湖(滋賀県)では27年度末に、生育面積が約20万平方メートルになり、滋賀県は対策に追われている。

 手賀沼の環境保全に取り組む市民団体「美しい手賀沼を愛する市民の連合会」によると、6月10日に手賀沼公園(我孫子市若松)で、メンバーが見慣れない植物を発見。県立中央博物館でオオバナミズキンバイと確認され駆除された。

 しかし、8月30日に県委託の外来水生植物調査を行っていた環境コンサルタント会社が、同じ若松地区で生育を確認。9月6日の連合会の調査で、手賀沼西側地域に広範囲に広がっていることが分かった。

 外来水生植物対策は、水辺を持つ地域共通の課題となりつつあり、連携を模索する動きにつながっている。滋賀県自然環境保全課の中井克樹主幹(56)は、15日に我孫子市内で開催された緊急勉強会に参加。オオバナミズキンバイの特徴を伝えたほか「計画的な駆除の推進、駆除後の見守りも重要。市民の理解と協力も大切」とアドバイスしている。

http://www.sankei.com/images/news/171117/lif1711170024-p1.jpg