パチンコホール経営業者の売上高合計推移
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パチンコ・パチスロ業界は、「依存症問題」に端を発し規制強化が進み、2016年末は非適合機種の撤去期限となるなど、経営環境が大きく変化している。2017年9月末にはパチスロ機の5.5号機が販売中止となり、射幸性を調整した5.9号機に移行する動きがあった。また、2018年2月には、1日の遊技時間を4時間と想定したうえで出玉上限を従来の3分の2の水準とする規制強化が控えている。「射幸性の低下が集客力にも影響を及ぼしている」との声も聞かれており、業績への影響度が注目されている。

 帝国データバンクでは、企業概要ファイル「COSMOS2」(147万社収録)の中から、3期連続で業績が判明しているパチンコ関連業者を、『パチンコホール経営業者』(2353社)、『パチンコ・パチスロ機卸業者』(412社)、『パチンコ・パチスロ機メーカー』(20社)の分類で抽出。各業態の売上高合計(総売上)などについて調査・分析した。

1.パチンコホール経営業者2353社の売上高合計を見ると、2016年度は19兆5435億円となり、2年連続で減少、前年度比で5.2%減少した。また、2016年度に「増収」となったのは203社(構成比8.6%)で、そのうち2年連続で「増収」となったのは71社(構成比3.0%)となった

2.パチンコ・パチスロ機卸業者412社の売上高合計を見ると、2016年度は前年度比12.5%減の7523億円となった。「増収」となった企業は、2015年度が152社(同36.9%)、2016年度が141社(同34.2%)と減少傾向にある

3.パチンコ・パチスロ機メーカー20社の売上高合計を見ると、2014年度は1兆1817億円、2015年度は1兆1832億円(前年度比0.1%増)と、ほぼ横ばいの推移だったが、2016年度は前年度比14.2%減の1兆151億円だった

パチンコ・パチスロ業界では、従来と異なる楽しみ方を提供する必要に迫られる

 「依存症問題」に端を発する規制強化の流れは、各社の売り上げに影響を及ぼしているが、業態によって影響の受け方は異なっている。「パチンコホール経営業者」は、もともと遊技人口が減少傾向にあったが、規制強化で射幸性が低下したことでさらに客足が遠のくなか、売上高合計が2年連続で減少となった。他方、「パチンコ・パチスロ機卸業者」、「パチンコ・パチスロ機メーカー」は、パチンコホール経営業者が集客力の強化を目的として定期的に遊技機入れ替えを進めるなか、2015年度は売上高合計が増加していたが、2016年度は「非適合機種の撤去期限」や「新基準導入を見越した買い控え」など特殊要因が足かせとなり、売上高合計が10%以上減少する結果となった。

 2017年度の売上高合計は、買い控えの反動増で、「パチンコ・パチスロ機卸業者」「パチンコ・パチスロ機メーカー」において再び増加に転じる可能性がある。しかし、中長期的に見れば、川下の「パチンコホール経営業者」の減少が続く限り、メーカー・卸の2業態においても厳しい状況となるだろう。

 パチンコ・パチスロ業界における規制強化は、「ギャンブル依存症」や「のめり込み問題」が指摘されるなか始まった動きであり、各業界団体も“適度に楽しむ”ということを推奨している。現在は「射幸性の低下が集客力の低下に結びついている」との声が多く聞かれるが、パチンコ・パチスロ業界は関係者各位が総力を挙げて従来とは違った楽しみ方を提供する必要に迫られている。この変化に対応できない業者の中から今後、淘汰される企業が出てくる可能性もある。

配信11/21(火) 13:58
帝国データバンク
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