自民党の竹下亘総務会長が、岐阜県で開かれた自民党支部パーティーの講演の際に、「(宮中晩餐会に招く国賓の)パートナーが同性だった場合、出席は反対。日本の伝統に合わない」といった主旨の発言をしたことが話題になっている(「宮中晩餐会の同性パートナー出席、反対」自民・竹下氏)。

 産経新聞の報道によれば、竹下氏はまず、フランスのオランド前大統領が宮中晩餐会に参加した際、事実婚関係にあったパートナーが天皇、皇后両陛下と並んで座ることへの対応について、宮内庁が悩んだことを言及。その上で、先述の発言をし、「日本国として近い将来、必ず突きつけられる課題になる」としたとある(国賓のパートナーが同性なら……竹下亘氏の発言要旨「日本国の伝統には合わない」)。

 宮中晩餐会は、世界各国の大臣・大統領・国王やノーベル賞受賞者、経済界の重鎮など数多くの人間が国賓として招かれる国事行為だ。日本国憲法第三条で国事行為は「内閣の助言と承認が必要」で「内閣がその責任を負う」とある。

 竹下氏の発言は、事実婚カップルや同性愛者への差別であるだけでなく、外交・政治としても問題がある。

■自民党は公約に「多様性」を掲げていた

 近年、世界では同性愛者であることを公表している政治家が増えてきた。

 例えば同性愛者であることを公表していたレオ・バラッカーが、今年6月にアイルランドの首相となった。アイルランドは2015年に、同性婚を合法とする憲法改正の是非を問う国民投票が行われて、62%もの賛成票を得ていた。

 ベルギーの元首相エリオ・ディルポも同性愛者であることを公表している。アイスランドの元首相ヨハンナ・シグルザルドッティルもやはり同性愛者であると公表、在任中である2010年に同性婚もしている。

 記憶に残っているところでは、ルクセンブルクのグザヴィエ・ベッテル首相だろう。以前から同性愛者であることを公表していたベッテル首相は、今年5月に行われた北大西洋条項機構(NATO)のサミットに、結婚相手のゴーティエ・デストネを連れて参加している。ゴーティエ・デストネは、各国首脳陣のパートナーの記念撮影に「ファーストジェントルマン」として参加している。

 竹下氏は、こういった政治家を「国賓」として招いておきながら、そのパートナーが宮中晩餐会に参加することは反対しているということになる。そのような対応をされた相手国の政治家が日本にどのような印象を抱くかは明白だ。オリンピック・パランリンピック誘致の際に「おもてなし」を掲げた国のすることではない。念のため繰り返すが、竹下氏の発言は、政治・外交問題である以前に、そもそも事実婚カップルや同性愛者への差別的発言だ。

 自民党は、今年10月に行われた衆院選の際に、公約として「性的指向・性自認に関する広く正しい理解の増進を目的とした議員立法の制定を目指すとともに、各省庁が連携して取り組むべき施策を推進し、多様性を受け入れていく社会の実現を図ります」と「社会・生活安全・消費者」の項目に掲げていた(自民党・衆議院選挙公約2017)。竹下氏の発言は、「多様性を受け入れていく社会の実現を図」ると書かれていた公約と矛盾している。

 また自民党は2016年に発表した「性的指向・性自認の多様なあり方を受容する社会を目指すためのわが党の基本的な考え方」の中で、「わが国においては、中世より、性的指向・性自認の多様なあり方について必ずしも厳格ではなく、むしろ寛容であったと言われている。明治維新以降、西洋化の流れの中で同性愛がタブー視され、違法とされた時期もあったが、歌舞伎の女形など性別に固定されないあり方を楽しむ文化が伝統芸能の中に脈々と息づいていることや、「とりかへばや物語」など中世文学作品が残されていることは、古来、わが国で性的指向・性自認の多様なあり方が受容されてきたことを示す一例として挙げられる」としていた。これも「日本の伝統に合わない」という竹下氏の発言と矛盾する。

配信2017.11.24
wezzy
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