https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171124-00000322-oric-ent

国民的アニメ『サザエさん』(フジテレビ系)を48年にわたりスポンサードしてきた東芝が、
先ごろ降板を正式に発表。それに伴い、「次のCMスポンサーはどこになるのか?」など、
さまざまな憶測がSNSを中心に飛び交っている。老若男女誰もが知る“国民的番組”を
半世紀の間支えてきた東芝の功績。さらに、スポンサー変更による『サザエさん』への
影響について考えてみたい。

■経済にも影響!? 国民生活と常にリンクしてきた怪物番組

『サザエさん』は、アポロ11号が史上初の月面着陸を達成した1969年の10月に、
東芝の1社提供として放送がスタート。家電市場が頭打ちになった1998年に
1社提供を終了したものの、48年にわたってCMを提供。エンディング時の
「エネルギーとエレクトロニクスの東芝がお送りしました」というセリフが印象に残っている
人も多いのではないだろうか。

日曜夕方6時の顔として定着した『サザエさん』は、1979年9月16日には最高視聴率
39・4%を記録(ビデオリサーチ社調べ、関東地区)。これはアニメ歴代視聴率3位で、
その冠名に恥じぬ「国民的番組」と言える。「家族で見られる」「日曜日の時報的存在」
などと言われるほか、『サザエさん』の視聴率が上がると株価が下がり、逆だと上がると
される通称「サザエさん効果」(大和総研レポート)、夫が妻の実家で生活する夫婦の状態を
「マスオさん状態」、日曜の夜に月曜の到来を憂う「サザエさん症候群」など、『サザエさん』
が鉱脈の流行語が次々と誕生。それほどに、国民生活とリンクする“圧倒的安定感”が
支持されてきた。

そんな“国民的な人気番組”として、アニメとしては驚異の数字である視聴率2桁を
マークしてきた『サザエさん』だが、2016年からは1桁台も増加。視聴率的に苦戦を
強いられているが、メディア研究家の衣輪晋一氏は「いまの時代、“家族で観る”という以外に、
“ネットで盛り上がる”という別の楽しみ方が生まれている。視聴率だけが評価の指標ではない」
と話す。

■“昭和”を引きずり続けるのにネットとの親和性は抜群!? 楽しみ方に変化が

事実、SNS上で『サザエさん』発のワードが話題になることは多い。例えば、ワカメの
クラスメートで、将来の恋人候補的な存在だった堀川くん。彼には現在、ネット上では
“サイコパス”の異名がつけられている。その発端となった代表的な奇行(?)のひとつに
「ひよこ事件」がある。ある日、ひよこを手に入れた堀川くんは、そのひよこに“わかめ”と命名。
“わかめ”を育てて卵を産ませ、その“わかめ”の卵をワカメに食べさせようとしたのだ……。
磯野家のトラブルメーカー・カツオは、時折見せる悪魔的閃きから「天才」「有能」などと
カツオ推しの声で盛り上がる。また、タラオはそのあまりの無邪気さや、すぐに家族にチクる習性から
「安定のチクり」などと揶揄されたり、磯野家にあったジェラートを“磯野家にそぐわぬものがある”と
勝手に食べてしまったノリスケには、「ハイエナ炎上おじさん」との異名が付けられたりもした。
衣輪氏はこうした盛り上がりについて、「フジテレビの某プロデューサーに聞いたところ、
“本当に人気のない作品はネット上でもスルーされる”」とのこと。自力のある番組は、
例え視聴率が低迷していてもネット上を賑わせることが多い。視聴率が低いからといって一概に
“人気が落ちた”などとは言えない時代だと分析する。