https://www.bloomberg.co.jp//news/articles/2017-11-29/-19
 株式と債券 、クレジット市場の強気相場の長期化に伴い、平均的バリュエーション(評価)を示す指標が
1900年以来で最も高い水準となっており、ある時点で投資家にとって痛みに変わる条件が整いつつあると、
米銀ゴールドマン・サックス・グループが指摘した。

  クリスチャン・ミュラーグリスマン氏をはじめとするゴールドマン・サックス・インターナショナルのストラテジストらは
今週のリポートで、「株式と債券 、クレジットが同じように同時に高くなる状況はめったになく、
『活況の1920年代と黄金の50年代』のケースだけだった」と分析し、
「楽しいことには必ず終わりがやって来る。弱気相場がやがて訪れるだろう」と予想した。

  複数の中央銀行が量的緩和(QE)を縮小し、長めの債券保有で投資家が求める上乗せ利回り(プレミアム)が上昇する中で、
中期的なリターンが「さまざまな資産で低下する可能性が高い」とアナリストらは予測。
さらに確率は比較的低いものの、2番目のリスクシナリオの下では、マイナス成長ショックか、あるいはインフレ加速に伴う
成長ショックが引き金になるかによって比重は異なるだろうが、株式と債券のバリュエーションが共に打撃を受けることで、
「急な痛み」が起きるとの見通しを明らかにした。

 ストラテジストらは「高く押し上げられたバリュエーションは、ショックを吸収するバッファーが少ないという単純な理由で
ドローダウン(水位低下)を招くリスクを高める。米国の株式と債券、クレジットの平均バリュエーションパーセンタイル値は
90%と過去最も高い水準にある」との分析を示した。

 ゴールドマンの計算によれば、S&P500種株価指数の構成銘柄60%と米国の10年国債40%というポートフォリオを組んだ場合、
1985年以降のインフレ調整後のリターンは7.1%、20世紀全体では4.8%となり、ハイテクバブルの崩壊と世界的な金融危機の
2つが記録に汚点を残す。

  リポートは、1920年代と50年代に経済成長を伴いそうであったように現在も低インフレが定着しており、
「債券と株式の両方が打撃を受ける高インフレとインフレ加速は、リセッション(景気後退)を別とすれば、
60/40%のポートフォリオにとって、最悪の結果になる」と指摘。
物価圧力が引き金となる政策金利の引き上げが「マルチアセットポートフォリオにとって引き続き主要なリスク」であり、
「債券市場のデュレーション(残存期間)リスクは今回のサイクルの方がはるかに高い」と主張した。

 ゴールドマンのストラテジストらは、比較的低いがプラスのリターンが期待できるメインシナリオの下で、
リスク調整後のリターンを高める方向で株式への投資を増やし、債券のデューレーションを縮小するよう勧めている。