2017.12.9 17:00
http://www.sankei.com/affairs/news/171209/afr1712090024-n1.html

 「1人の中国人男性を2人の右翼の日本人が殴り、脳しんとうを起こした」−。中国語でこんな題名が付いた動画が今月2日、動画投稿サイト「ユーチューブ(YOUTUBE)にアップされた。ネット上には日本人批判があふれているが、日本人による犯行との主張は「誤報」であることが判明した。

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 関係者によると、事件は2日午後7時20分ごろ、東京都北区赤羽のJR赤羽駅に停車していた京浜東北線の上り列車内で起きた。投稿された動画には、2人組の男が座っていた男性の顔を何度も蹴っている場面が映っていた。警視庁赤羽署は傷害容疑で2人の男をその場で現行犯逮捕。身柄を東京地検に送り、捜査している。中国人男性は被害届を提出しているという。

 在日中国人向けのメディアなどがこの事件を報じ、動画が拡散された。中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」などでも、「日本の右翼に暴行を受けた」という題名で動画が転載されている。

 ネット上には、「くずの日本人2人が中国の人を殴ったんだよ、最低の日本人」「2人の日本人があんなに暴行したのに、全て外国人のせいにするな」「殴る側の2人が警察が止めても暴行を続けていて『中国に帰れ』と叫びました」などと、犯人が日本人であることを前提にした批判が殺到した。

 ネット上では、「日本人が無抵抗の中国人を殴った」というのが半ば既成事実のようになっている。しかし、動画には殴った男のうちの一人が片言の日本語で「あいつ、友達呼んでるよ」と叫んでいる場面も映っていた。そのため、「日本人ではないのでは」と拡散された情報を疑問視する声が浮上した。

 警視庁の捜査関係者に取材したところ、「逮捕されたのは日本人ではない」と断言した。さらに、「容疑者は中国人でも、韓国人でも、日本人でもない。容疑を認めている。車内でけんかがあったようだ。お互いに面識はない」と説明している。

 JR東日本東京支社によると、この電車が約8分遅れるなどの影響が出た。(WEB編集チーム)