http://www.sankei.com/smp/west/news/171213/wst1712130096-s1.html

 富山大が、学会誌に論文を二重投稿したとして懲戒処分とした芸術文化学部の50代の男性准教授について、博士号を取り消していたことが13日、大学への取材で分かった。大学は取り消しを公表していなかった。

 富山大は「学位規則に明確な規定がなかったため」と説明しているが、文部科学省は「博士論文は公のものなので、学位取り消しは可能な範囲で公表することが期待される」としている。

 富山大などによると、准教授は、高齢者の視覚に関するほぼ同じ論文を二つの学会に投稿。論文平成19年3月と6月に発行されたそれぞれの学会誌に掲載された。うち一つの学会は25年、他学会誌に投稿中の論文の投稿を認めない規定に違反するとして、掲載を取り消した。富山大は27年2月、准教授をけん責の懲戒処分とした。

 准教授が博士号を取得する際、取り消された論文を利用していたため、大学は「博士号の申請要件を満たさなくなった」として、今年6月に学位を取り消した。論文にデータの改ざんや捏造などはなく、博士号が取り消されても准教授を続けることは問題ないという。