http://www.sankei.com/smp/life/news/171216/lif1712160003-s1.html
 「南京大虐殺」や「従軍慰安婦」などを教科書に記載する基礎用語に選定した高校歴史用語精選案をめぐり、案を作成した「高大連携歴史教育研究会」(会長・油井大三郎東大名誉教授)に、高校歴史教科書の執筆者や編集協力者20人以上が呼びかけ人などとして参加していることが15日、分かった。関係する教科書会社は計6社で、高校歴史教科書発行会社をほぼ網羅。精選案は編集に一定の影響力を持つとみられ、「南京大虐殺」など教科書から消えつつある用語が再び増える恐れもある。

 研究会は平成27年7月に発足した民間団体で、会員は大学や高校の教員ら約400人。研究会のホームページに掲載されている呼びかけ人約130人や選定作業に関わったメンバーを、各教科書会社が公表している執筆者や編集協力者と照合した結果、執筆者ら20人以上の研究会への参加が判明した。

 文部科学省によると、現在使用されている高校歴史教科書の発行会社は7社。このうち研究会の会員が編集に関与したのは山川出版社、清水書院、第一学習社、東京書籍、帝国書院、実教出版−の6社で、実教出版の日本史Aには精選案で日本史用語の選定作業に携わったメンバーを含め計6人が確認され、執筆陣の半数を占めた。

 研究会副会長が執筆陣に名を連ねる同社の日本史Bの教科書は、学習指導要領で指導が義務付けられている国歌斉唱を「強制」とした記述(30年度から削除)が不適切だとして、東京都や神奈川県の教委が公立高での採択を見送るなどした経緯がある。

 精選案は現行の用語を半数以下に削減。「坂本龍馬」「楠木正成」など知名度の高い人名も外れた。研究会はアンケートを実施中で、年度内に最終案をまとめ教科書会社に提言する。

 研究会の油井会長は「提案を尊重するかどうかは教科書会社と執筆者次第で、当会が直接的な影響力を行使できるものではない。問題の中心は広(こう)汎(はん)な方々に了解される精選を明確にすることであり、特定の史観に基づいて用語精選をするものではない」とコメントした。

精選案、少数表記を復活

 高大連携歴史教育研究会の高校歴史用語精選案で、教科書本文に記述する基礎用語に選定された「南京大虐殺」「従軍慰安婦」は、ここ20年で減っていった表記だ。現行科目「日本史B」では「南京事件」「慰安婦」が主流となっている。精選案は、生徒の考察や議論を重視した次期学習指導要領に合わせ、用語を現行から半減。一方で少数表記を復活させており、教育界の幅広い合意が得られるか最終案が注目される。

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