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 千葉県君津市は補強などを特に施さずに掘ったままの状態の素掘りトンネルを22本も抱えている。これだけの素掘りトンネルがある自治体は珍しいという。岩肌がむき出しで入るとちょっと怖いが、それが人気にもなっている。一方で生活道路なので安全対策は欠かせない。市は3月に長寿命化修繕計画を立てて補強、補修を始めた。

 ダム湖の三島湖。その湖畔に全長85メートルの梅ノ木台1号隧道(ずいどう)がある。幅は軽自動車がやっと通れるほど。入り口付近は補強されているが中に入ると壁はでこぼこ。掘り進んだ後がそのまま残されていて洞窟のようだ。出口が見えないので恐る恐る進んでいくとトンネルの中に直角のカーブがあった。「三島ダムL字素掘トンネル」とも呼ばれるこのトンネルは今年度中に吹き付け工事を行うという。

 外に出るとすぐに梅ノ木台2号隧道がある。ここは入り口も素掘りのまま。全長は1号隧道とほぼ同じで直線だが、中に分岐がある。人が通れるほどのトンネルの方から外へ出るとそこは崖。三島湖が見え、岩に挟まるように設けられた祠(ほこら)があった。

 同市は面積が県内2位と広く山間部も多いため小さな集落が散在している。そのため簡易な素掘りが増えた。国道や県道、高速道下のトンネルを除くと市が抱えるのは32本でその約3分の2が素掘り。いずれも1940年代以前に掘られたとされ、老朽化も進んでいる。

 しかし、トンネルの先には数軒しかない所もある。市の担当者は「大規模な工事は難しいが、簡単に封鎖はできない。早期の補修で長く利用していきたい」と話す。そこで素掘りを含めた32本を5年間かけて補修する長寿命化修繕計画を立てた。

 計画では、まず2本は天井をなくして非トンネル化し、5本は吹き付け工事で補強する。危険度が高い3本はすでに封鎖した。計画の中間年の2019年度には大規模な点検を実施、今後の方針を検討するという。事業費は、素掘り以外のトンネルの補修費も合わせると6億1234万円と試算している。(堤恭太)

削り跡が生々しい梅ノ木台1号隧道。中でほぼ直角に曲がっている=君津市正木
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梅ノ木台2号隧道内の分岐されたトンネルの外には高さ1メートルほどのほこらがある
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素掘り感がある梅ノ木台2号隧道の入り
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