TPPと日欧EPAの経済効果
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政府は21日、米国を除く環太平洋パートナーシップ協定(TPP11)と、日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)の発効により、合算すると日本の実質国内総生産(GDP)を約13兆円押し上げるとの試算を公表した。経済成長に伴い将来的に約76万人の雇用が生まれるとした。一方、農林水産物の国内生産額はTPP11で最大1500億円減、日欧EPAで最大1100億円減少すると見込んでいる。

政府が2015年に公表した米国を含む12カ国のTPPの影響試算と同じ手法を用いた。関税撤廃のほか、投資やサービスの規制緩和により貿易や投資が拡大することで、雇用や賃金が増えることを想定。試算結果によると、協定が発効しなかった場合と比べ、GDP押し上げ効果はTPP11で約1.49%、日欧EPAで約0.99%となった。16年度のGDPで換算するとそれぞれ約8兆円、約5兆円に相当する。政府はいずれも19年早期の発効を目指しているが、経済効果が全て表れるのは協定発効から10〜20年後という。

15年の政府試算では、米国を含むTPPの経済効果として、日本のGDPは約14兆円(約2.6%)引き上げられ、雇用は約80万人増えるとしていた。12カ国のGDPの約65%を占める米国が離脱したことで、TPP11の経済効果は4割強減少した。ただしベトナムやマレーシアなど途上国が貿易・投資の自由化をする効果が大きく、経済規模の割合ほど米国離脱の影響は出なかった。

一方、農林水産物への影響では、安価な輸入品との競合による国産品の値下がりで国内生産額はTPP11で約900億〜1500億円、日欧EPAで約600億〜1100億円減少すると見込んだ。だが政府のTPP関連政策大綱に基づく支援策により、国内生産量や生産者の所得は維持されるとしている。【中井正裕】

配信2017年12月21日 19時43分(最終更新 12月21日 22時23分)
毎日新聞
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