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2017年12月27日
レジス・アルノー : 『フランス・ジャポン・エコー』編集長、仏フィガロ東京特派員

筆者が1995年に日本に訪れた当時、日本語で世界的に知られているものと言えば、「カイゼン」「モッタイナイ」あるいは「スシ」などだった。しかし、近年、日本で生まれたよりネガティブな言葉が、世界中で知られるようになってきた。「イアンフ」「ソンタク」、そして「チカン」といったものだ。

もっとも、公共交通機関における性的被害は世界中の多くの都市で起きているといえる。12月19日付の仏ル・フィガロ紙によると、フランスの電車や地下鉄では過去2年間で少なくとも26万7000人が性的暴行に遭っているという研究結果が発表されている。

加えて、11万人もの人が露出狂に遭遇していたという。また、ニューヨーク州のダイアン・サヴィーノ上院議員が2017年6月に発表した報告書によると、ニューヨークでも地下鉄における性的被害が3年前から52%拡大している。

「あなたも悪いのよ、わかってる?」

とはいえ、女子学生を標的にした痴漢行為は日本特有のものかもしれない。佐々木くみさん(念のために伝えると、ペンネームである)も、痴漢行為に苦しめられてきた女性の1人だ。現在、フランスに住む佐々木さんは、2017年10月、フランス人の小説家エマヌエル・アルノーさんと共著で、『Tchikan(痴漢)』という本を出版した。

文章とイラストによって構成されたこの本は、今から約20年前、彼女が日本で学校に通っていた6年間続いた痴漢被害を語ったものだ。痴漢行為は中学校に入ってすぐ始まり、車内で体を触られることに耐える日々が続いた。それは時に、8分間にも及ぶことがあったという。

彼女のTシャツを指が通り抜けていくのを感じる。しかし、あまりの恐ろしさに、声を上げることも、体を動かすことすらできない。もちろん、誰も助けてくれない。
(リンク先に続きあり)