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1月18日 4時16分
観測性能が大幅に向上した気象衛星「ひまわり8号」のデータや、スーパーコンピューターを活用して、豪雨の発生場所などを高い精度で予測する手法の開発に、理化学研究所などの研究グループが成功しました。将来的に、豪雨や洪水の危険性をいち早く把握できると期待されています。

3年前から運用が始まった気象衛星「ひまわり8号」は、地球全体を撮影する頻度が従来の30分に1回から10分に1回に増えたほか、センサーの性能向上などでデータ量が従来のおよそ50倍に増えました。

理化学研究所や気象庁気象研究所のグループは、こうした膨大なデータをスーパーコンピューター「京」で処理することで、豪雨の発生場所などをより高い精度で予測する手法の開発に成功したと発表しました。

研究グループによりますと、3年前の「関東・東北豪雨」を例にシミュレーションした結果、従来の手法では、12時間先の雨の範囲が実際より西に100キロほどずれて予測されましたが、新たな手法では、実際に雨が降った地域とほぼ同じ範囲で大雨が予測されたということです。
このほか、現在は予測が困難な台風の急速な発達についても、予測の精度が大幅に向上するということです。

一方、こうした手法を気象庁の予報システムに組み込むには技術的な課題があり、実用化のめどは立っていないということです。

理化学研究所の三好建正チームリーダーは「一刻も早くこの技術が実用化されて、豪雨や土砂崩れなどの災害の予防に役立つよう努力したい」と話しています。