高級ホテル・旅館を運営する星野リゾート(北佐久郡軽井沢町)が、住宅に有料で客を泊める「民泊」事業に参入する方針であることが17日、分かった。同社は軽井沢町内に多い別荘の管理事業も手掛けており、管理物件のオーナーが希望すれば民泊に活用する考え。町は別荘地を含む環境を守るとして民泊を町内で認めない方針だが、同社は適切に民泊を活用すれば「地域活性化につながる」としている。

 6月の住宅宿泊事業法(民泊新法)施行で本格化する民泊事業を巡っては、楽天グループやJTB、住友林業など大手企業が相次ぎ参入を表明している。県内大手企業の民泊参入が明らかになるのは、星野リゾートが初めて。

 1914(大正3)年に軽井沢町で創業した同社は、国内外で高級ホテル・旅館の運営を手掛ける一方、町内で古くから別荘地の開発・管理も手掛けている。自社のリゾート施設の周囲には約250区画の別荘地があるが、夏場の利用が多く、空いている期間は鍵を預かって別荘を管理している。「空き期間の建物・別荘の稼働率を民泊で上げたい」と考えるオーナーもおり、希望に応じて民泊物件としての運営管理や仲介を手掛けることを想定する。

 同社は町内でホテルや商業施設を運営しているが、民泊は「価格帯など全く違う商品」と位置付ける方針。グループ内の他施設との違いを出して社内での競合を避ける一方、別荘地に近い自社の商業施設に誘客して相乗効果を図る狙いもあるとみられる。

 一方、宿泊業界には民泊市場の拡大による競合激化を懸念する声もある。軽井沢町は長く保たれてきた良好な別荘環境を守るとして、町内全域での通年規制を含む県条例制定を県に求めている。ただ、県会2月定例会に条例案を提出する方針の県は、国の方針に沿い「通年規制は非常にハードルが高い」としている。

 星野リゾートは、使われない空き家を放置すれば「かえって別荘地全体の環境を劣化させる」としつつ、民泊で家屋の管理が行き届けば「より魅力あふれる地域になる」と主張。「別荘の価値が上がれば別荘オーナーの増加にもつながる。別荘に宿泊する特別な体験が、繁忙期以外の町への誘客につながる」とも指摘し、条例による過度な規制に反対している。

(1月18日)
信毎WEB
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