http://yomiuri.co.jp/national/20180118-OYT1T50107.html

 大阪市が、市営公園に設置している噴水などの水景施設133か所のうち、約7割にあたる95か所で保守点検を怠り、故障させていたことがわかった。

2011年の東日本大震災以降、節電対策のために運転を停止後、放置していたためだ。修理には多額の費用がかかり、市は、89か所は撤去せざるを得ないと判断。「管理の怠慢で、申し訳ない」としている。

 市は、市営989公園のうち、52公園に噴水や人工の滝、水路など計133の水景施設を整備。11年3月発生の震災直後の電力不足を受け、節電対策として全ての水景施設の運転を一時停止した。

 1か月後、規模が大きく、利用者が多い37か所で運転を再開したが、残りは再開を見送った。水道代などで年間約1億円の経費がかかるためで、12年度以降は1か所を除いて停止したままだった。

 ただ、市の管理施設は通常、定期点検をしなければならず、噴水などの場合、停止中も半年に1回程度、維持管理のため試運転や機械のメンテナンスが必要なものだった。

 しかし、これを市公園課の担当者が怠っており、一部の市議から「停止している噴水はどうなっているのか」との指摘を受け、調べた結果、内部のポンプや浄水装置などがさびて、作動しなくなっていることが判明。稼働させるために装置を交換したり、修理したりした場合、6億〜7億円かかることがわかった。

 市は、各施設の予想される利用状況と補修費用などを比較検討し、一部の噴水などは約5000万円かけて補修するが、残りの89か所は撤去するしかないと判断。跡地には花壇や芝生を再整備する方針で、約2億5000万円かかると見込んでいる。

 同課は「放置すれば、故障するというのは分かっていたはずだが、担当者間で引き継ぎができていなかった。せっかく整備した水景施設を失うことになってしまい、大変申し訳ない」としている。

 公園を利用する市民からは「お粗末すぎる」などと不満の声が漏れる。

 同市北区の扇町公園のプール施設前の池は以前、水が張られていたが、噴水の停止で池の底の様子が見え、投げ捨てられたゴミが目立つ。

 同市東住吉区の長居公園の噴水も、水浴びができる霧状の水が子供に人気だったが、今は塗装がはがれたまま放置されており、60歳代女性は「夏場は、ここに来ると涼めた。なくなってしまうのなら残念だ」と言う。

 JR大阪駅近くの西梅田公園では、噴水が工事用フェンスで覆われ、「震災の発生にともない、当分の間、運転を自粛します」との貼り紙がある。通りかかった20歳代男性は「見て楽しむはずの噴水が、逆に景観を損ねている」とあきれていた。

故障した扇町公園内の池。水が抜かれ、ゴミも散らばっている。(大阪市北区で
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停止しっぱなしの噴水
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