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2018年1月20日 12:05 発信地:中国
【1月20日 CNS】多くの人が古里に帰る春節(旧正月、Lunar New Year)が近づくと、中国では「結婚をせき立てる」話題が世間をにぎわすのが常だ。帰郷すると、未婚の若者は家族から結婚を催促されることが多いからだ。近年は、初婚年齢が遅いことに関する話題がインターネット上でも熱を帯びている。なぜ、晩婚を好む若い中国人が増えてきているのだろうか?「晩婚族」の増加は、どんな問題をもたらすのか?現代の中国人は今、「男大当婚、女大当嫁(男も女も大きくなったら結婚すべきだ)」という伝統的な観念をどう見ているのだろうか?

■上昇する「初婚年齢」

 初婚年齢の遅さはしばしば、話題に上る。一部報道によると、2017年の江蘇(Jaingsu)市民の平均初婚年齢は34.2歳(女性34.3歳、男性34.1歳)だという。しかも、12年時の同市民の平均初婚年齢は29.6歳だったので、かなり上昇している。このことはすでに江蘇市民の問題だけに留まらず、広東省(Guangdong)や上海市(Shanghai)などでも初婚年齢が遅れているという。

 また、初婚年齢の遅れだけではなく、中国の結婚率も近年、下降の一途をたどっている。中国民政部のデータによると、16年に全国で婚姻登録した夫婦は前年より6.7%少ない1万1428組だった。

■なぜ晩婚?

 晩婚は必然になりつつある。学業や仕事など、競争社会のプレッシャーにも追われ、多くの若い中国人たちは、自分の意思で結婚をしない者や、理由があって結婚ができない者が残る。中国社会科学院人口・労働経済研究所の張車偉(Zhang Chewei)研究員は、「近年、晩婚化は国際的にも普遍的な現象となっており、中国も例外ではない。最近の若い人たちは独立心が強く、教育レベルも高いことで、自身の価値観を実現させたいという気持ちを強く持っている。また、近年の社会の発展も若い世代により多くの生活的ストレスを与え、恋愛・結婚社会がより複雑化されたことも初婚年齢に影響している」と指摘する。

■晩婚化の影響は?

 王欣(Wang Xin)さん(26歳、女性)は晩婚を望まず、昨年10月に結婚したばかりだ。「私と主人は子どもを二人欲しいと思っていますが、あと数年遅かったら出産適齢期を逃してしまい、身体にも良くないでしょう」と話す。出産適齢期についてのインターネット上の議論を参考にしていたそうだが、適齢期の基準がまちまちなのが気になった。「27歳とか35歳までとかさまざまですが、ならば、どちらにしても結婚は早い方がいいと思う」とのことだ。

 華中科技大学(Huazhong University of Science and Technology)同済医学院附属・生殖医学センターの章漢旺(Zhang Hanwang)教授は、「人体科学の観点からは23歳が最もふさわしい適齢期だと言えるが、社会環境の変化などによって、中国人女性の出産年齢は現実に遅くなっている。おそらく、高齢出産もこれから増えるだろう」と話す。「現在、中国の出生率は世界的に見ても低く、このまま晩婚化が進めば出生率はさらに低下する。長期的には、中国の人口構造にも影響が出るし、高齢化も加速していくだろう」と章教授は危惧する。

 ■中国の伝統的な観念「男も女も大きくなったら結婚すべきだ」をどう見る?

 社会の発展につれて、中国人の結婚・恋愛感は多様化している。中国社会科学院人口・労働経済研究所の張研究員は、「大人になったら結婚すべきだという伝統的な考え方は、長らく受け継がれてきた。社会をつなぎ留めるため、家庭を安定させるために共に重要なことだ。現代においても同様だが、社会の発展により、個人の行為や選択を必ずしも一致させる必要性もない。若い世代の結婚観はすでに伝統的思想から離れ、多様化した結婚観と生活スタイルが社会に受け入れられ始めている」と話す。

 また政府の「二人っ子政策」について張研究員は、「この政策が施行されて2年が経過し、中国人の結婚観に一定の影響はおよぼしている。しかし、政策はあくまでも補助作用であり、個人と家庭の願いこそが重要である」と強調した。(c)CNS/JCM/AFPBB News