「まだ納骨できない」父親の思い 和歌山小5男児殺害
1/22(月) 19:06配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180122-00000057-mbsnews-soci

 3年前、和歌山県紀の川市で小学5年の男の子が殺害された事件の控訴審が23日に始まります。裁判を前に、男の子の父親が今の思いを語りました。

 事件から約3年。亡くなった森田都史君(当時11)の父親は、事件現場となった空き地を毎日訪れています。

 「もう3年ですね。事件があって、ここで最後にとどめを刺されたということで。都史君の命をそんなふうにして…」(亡くなった森田都史君の父親)

 カメラに向かってポーズを取り、無邪気に笑う都史君。その命は、突然奪われました。都史君を殺害した罪などに問われている紀の川市の無職・中村桜洲被告(25)。都史君と同じ住宅街に住んでいた中村被告は2015年2月、都史君から嫌がらせを受けているという被害妄想を抱き、仕返しをしようと考えて都史君の胸や頭などを刃物で複数回切りつけるなどして殺害したとされています。

 去年3月に始まった裁判。逮捕当時に丸刈りだった中村被告は、髪を肩まで伸ばした状態で法廷に現れました。すると、都史君を殺害したかどうかについて供述を二転三転させます。

 (裁判長) 「いま検察官が読んだ事実、内容自体はわかりましたか?」
 (中村被告)「まあ、内容はわかったけど」
 (裁判長) 「この事実はこの通りですか?」
 (中村被告)「違います」
 (裁判長) 「違う?どこが違う?」
 (中村被告)「全部。僕はやってない」

 中村被告は最終的に起訴内容を認めましたが、すべての裁判に参加していた都史君の父親は中村被告の様子を間近で見て胸が苦しくなったといいます。

 「裁判の間でも弁護士に言われたからといって認めて、話をしている中で『していない』と言ったり、本人としてはこの事件を起こしたことについても反省が全くない」(都史君の父親)

 そして、判決内容にも不満が残りました。和歌山地裁は「被害者に何ら落ち度はなく、11歳という尊い命を奪った被告人の刑事責任は重い」と断罪しました。一方、事件当時に心神耗弱状態だったことを考慮して、検察側が求めた懲役25年を大きく下回る懲役16年の判決を言い渡したのです。

 「予想外で。この気持ちを祭壇の都史君に報告できないということは非常に辛くて無念で」(都史君の父親・去年3月)

 検察側・被告側、双方が控訴し、23日から大阪高裁で裁判が始まります。事件当時の精神状態と量刑などが争点とみられています。事件から3年が経ちましたが、都史君の父親は今も遺骨を手元に置いています。これからも裁判の行方を法廷で見届けるつもりです。

 「都史君が聞いても『お父さんよく頑張ったねって』言ってもらえるところまでやったら、都史君にここで報告ができて納骨ができるのかなと思っています」