http://yomiuri.co.jp/national/20180129-OYT1T50013.html

 23日の噴火で1人が死亡、11人が負傷した草津白根山(群馬県)の「本白根もとしらね山」(標高2171メートル)の火口周辺を28日、読売新聞記者が読売ヘリで上空から見た。

 2か所の新火口がはっきり確認でき、周辺には、落下した噴石で地面がくぼんだ痕跡が無数にみられ、木々がなぎ倒されている所もあった。

 新火口のうち1か所は、鏡池の北側で、約1500年前に噴火したとされる火口の近く。幅約30メートル、長さ100メートル以上の範囲に、五つ以上の穴が並び火口列を作っていた。もう1か所はその西側で、幅5メートル、長さ10〜15メートルほどのくぼ地になっていた。谷沿いのスキーゲレンデからは、斜面を約30メートル登った至近距離にあった。

 両火口の中や周囲には、最大1メートル近い噴石が突き刺さり、いくつかの噴石は雪をかぶっていた。木々が倒れたり、枝が折れたりしている様子も見えた。新火口の周辺の山肌は火山灰で真っ黒になり、あちこちに白いまだら模様が見えた。

 まだら一つの大きさは、数十センチ〜約1メートル。ヘリに同乗した東京大学の前野深准教授(火山地質学)によると、まだらの正体は、火山灰が積もるところに噴石が落ち、下の雪がむき出しになった「インパクト・クレーター」だという。訓練中の陸上自衛隊員が死亡したスキーゲレンデ付近でもインパクト・クレーターが目立った。前野准教授は「すごい密度だ。これだけの噴石が飛んでくれば、人が逃げるのは難しい」と語った。

 噴火は平日の午前中で、スキー客は比較的少なかったが、夏場は一帯にハイキング客も訪れる。時期やタイミング次第では、さらに犠牲者が増えていた可能性もある。

http://yomiuri.co.jp/photo/20180129/20180129-OYT1I50012-1.jpg