<想像力溢れる回答と批判。良いとこ取りして事態を収めた当局...>

試験の珍回答は度々取り上げられるが、中国のネットで物議をかもしたのは「珍問題」だ。
その日、算数の試験を受けた南充市(四川省)順慶区の学校に通う5年生は困難に直面した。
出題された問題はこうだ。「船に羊26匹、ヤギ10匹が乗っています。さて、船長は何歳でしょう?」

文字通り受け止めると、何度読み返しても答えは出てこない。
しかし、これは試験。生徒たちは正気に戻り、一生懸命に答えを考えたことだろう。

今週はじめにこの珍問題が中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」に出回ると、
子供から大人まで多くのユーザーを巻き込み議論が起こった。

〈まずはネットユーザーの回答〉

ネットにはこの難問に立ち向かう多くの猛者が現れた。
まず、ある学生の答えは「未成年者は法律上、船舶を運転できないから、
船長は少なくとも18歳以上でなければならない」。真面目な人柄をうかがわせる回答だ。

しかしここで取り上げたいのはネットユーザーのクリエイティビティ。
「珍問題」を制するのは「珍回答」と言わんばかりに、
「船長は36歳。彼は非常にナルシストで、動物の数は彼の年齢と同じ」と書き込まれた。

しかしながら、出題された問題への違和感は解消されない。
一部のユーザーは、「数学の問題なのに論理的な答えがないことがおかしい」
「この問題は理論的にまったく意味をなさない。教師は答えを知っているのか?」などと、
試験の出題に関わった運営側を批判。「学校に26人の教師がいるとしたらそのうち10人は思考停止しています。
さて、校長は何歳でしょう?」というひねりの効いた皮肉もあった。

〈「珍問題」を支持する声も〉

一方で「珍問題」の意義をポジティブに捉える人もいる。学生たちを偏ったものの見方から切り離し、
独立した思考がテストできるものだと、学校側を称賛した。
「この設問の意義は学生自身に考えさせることにある」と書きこまれた。

この「珍問題」は、創造性を養うものだからこそ、多くの議論が生まれていると指摘する声もある。

南充教育部は1月26日、一連の騒動を受けて声明を発表し、「珍問題」には決まった答えがないことを認めた。
出題の目的は固定概念を超えて考える能力をテストするためと説明した。
「異なる解を導く問いで良い試験問題」と言っているが、ふと共産党の一党独裁体制が頭に浮かぶ。
なるほど、これも答えのない「珍問題」なのだろう。

関連ソース画像
https://www.newsweekjapan.jp/stories/assets_c/2018/02/china-math-exam180201-thumb-720xauto.jpg

ニューズウィーク日本版
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/02/post-9444.php