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2月6日 17時57分
東京株式市場は、5日のニューヨーク市場でダウ平均株価が過去最大の値下がりとなったことを受けて、日経平均株価は一時1600円以上値下がりしました。その後、買い戻しもあって、終値は5日より1071円84銭安い2万1610円24銭で取り引きを終えました。

株価の急落について、日本の企業や政府からは「日本経済は堅調に推移している」といった声が相次ぎました。

「経済は好調に推移が現場の感覚」

丸紅の矢部延弘常務は「根本的に経済は悪くないので、実体経済を反映したというよりはあまりに早く、高く、上がりすぎた株価を調整しているという見方が正しいのではないか」と述べました。
また、日本の株価下落の要因の1つとなったアメリカの株価や経済状況については、「リーマン・ショックの時のように、不動産価格が自分の抱えるローンよりも下がったり、いつ職がなくなるか分からないような状況に比べると、経済が大きく後退したというよりは、好調に推移しているというのが現場の感覚だ」と述べました。

三菱重工業の宮永俊一社長は、決算発表の会見で、「われわれとしては着実に財務体質を健全にしながら、経営や資本政策をやっていく。私たちの事業自体の振れ幅は大きくないので、株価の変動はあっても世の中の成長とともに伸びていけると考えている」と述べました。

JR東日本の冨田哲郎社長は定例の会見で「アメリカ経済の動向などさまざまな要因がありなかなかコメントは難しい。足元の鉄道の輸送実績は悪くなく、経済環境は堅調だ。この状況を強化していかないといけないと思っている」と述べました。

JT=日本たばこ産業の寺畠正道社長は「地政学的リスクはあるのは事実だが、日本も海外もマクロ経済全体は安定してきていると思う。一時的にアメリカの株が全体的にネガティブな方向に動いているが、じわじわと調整して落ち着いていくのではないか」と述べました。

官房長官「経済は好循環も世界経済の動向を注視」

菅官房長官は午後の記者会見で、「政府としては、世界経済は堅調に推移しているという認識に全く変わりはない。わが国をはじめ企業収益は拡大しており、アメリカやオーストラリアにおいても、緩やかながら回復が続いているという認識だ」と述べました。

そのうえで菅官房長官は、記者団が安倍政権の経済政策、アベノミクスに与える影響を質問したのに対し、「日本経済は、企業収益が過去最高、雇用・所得環境も改善し、経済の好循環は確実に回り始めている。そうした中で、金融市場を含めて世界経済の動向を注視し、経済運営に万全を期していきたい」と述べました。

ネット上には昇給や就活などに懸念の声

株価が大幅に値下がりしていることを受け、ネット上では投資家たちから「笑えない事態になっている」などと深刻に受け止める書き込みが相次いでいるほか、「4月の昇給額はどうなるのか」とことしの春闘への影響を懸念する声も上がっています。

また、「年金運用には国内株式も入っているから株取引をしない人にもひと事ではない」と年金資金の目減りを心配する声や、就職活動中の学生と見られる人からは「就活に影響が出そうで怖い」とか「内定取り消しもあり得そうだな」といった書き込みが見られました。

さらに、株価急落の影響でビットコインをはじめとする仮想通貨全体の時価総額も大きく減少していることから、「どんどん下がってる」、「ビットコインは死んでしまうの?」などと悲鳴のような投稿が相次いでいます。