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 上野動物園(東京都台東区)の敷地内を走る日本初のモノレールが昨年12月、開業から60年を迎えた。

 区道をはさんで東と西のエリアに分かれる同園を空中でつなぐ、片道わずか1分半の旅。今も年間100万人が乗車しており、パンダの「シャンシャン」にも負けない、根強い人気を誇っている。

 ◆日本初

 同園のモノレールの正式名称は「東京都懸垂電車上野懸垂線」。鉄道事業法に基づき、都交通局が運営する公共交通機関で、日本初のモノレールだ。

 路線の長さは、同園の東園と西園を結ぶ約300メートルで、同局によると、1957年12月17日、将来の都市交通機関の開発に向けた「実験線」として開業した。運賃は、大人(中学生以上)150円、小児(2歳以上)は80円。

 ◆ゆったり運行

 片道約1分半だが、動物園を見下ろしながらのゆったりとした運行は、家族連れを中心に人気が高い。

 パンダの「カンカン」、「ランラン」が中国からやって来た72年の翌年度には、1年間で過去最多の153万人が乗った。車両や施設の老朽化で一時は廃止も検討されたが、来園者らからの強い要望もあり、現在の車両は4代目だ。

 先月30日、子ども2人と乗車した練馬区の主婦(38)は「来園する度に、子どもたちと空からの眺めを楽しんでいます」と笑顔を見せた。

 今も年間100万人前後が利用し、多い日には約6000人が乗車する。

 ◆駅長は元運転士

 モノレールの運行は、定年を迎えた元都交通局職員らが中心になって担っている。2016年4月から25代目駅長に就任した永田一秀さん(62)も、都営三田線や大江戸線の運転士などを経験したベテランで、「こんなに多くの人が利用するのかと最初は驚いた。歓声を上げて喜ぶ子どもたちを見るのが、いつも楽しみ」とやりがいを語る。

 昨年12月にパンダのシャンシャンが一般公開されてから、同園の注目度は高まっている。永田さんは「たくさんの人が来ても、安心して楽しんでもらえるように安全運行に努めたい」と気を引き締めていた。

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