https://www.cnn.co.jp/m/fringe/35114602.html

2018.02.13 Tue posted at 11:13 JST
(CNN) 地球の海面を人工衛星で観測したデータから、気候変動によるとみられる海面上昇が年々加速していることが確認された。米コロラド大学ボルダー校の研究者らが12日、米科学アカデミー紀要(PNAS)に発表した。

従来の潮位測定機器が沿岸部に設置されているのに対し、衛星を使えば外洋の測定が可能になり、より正確なデータを得ることができる。

同校で航空宇宙工学を研究するスティーブ・ネレム教授らのチームが1993年までさかのぼって衛星データを分析したところ、海面はこの25年間で計7センチ上昇していることが確認された。これは、一般に指摘されている年間約3ミリのペースとほぼ一致する数字だ。

しかしチームによると上昇のペースは一定でなく、年々加速している。ネレム教授は、グリーンランドや南極で進む氷の融解が加速の主な原因だと指摘。2100年までの上昇幅は、平均のペースが続くとすれば約30センチと予想されるが、融解が加速した場合はその2倍以上となり、60センチ以上に及ぶ可能性があると主張する。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書でも、温室効果ガス排出量がこのまま変わらなければ、2100年までに海面が52〜98センチ上昇するというシミュレーション結果が出ている。

海面が65センチ上昇すると、沿岸部の都市を襲う高潮などの災害は爆発的に悪化する恐れがある。

ネレム教授らのチームはエルニーニョ、ラニーニャ現象や火山噴火による海水位の変化など、海面の高さに影響を及ぼすさまざまな要因を除外して、気候変動による加速を割り出した。

チームによれば、海面上昇は現在、半分以上が海水の熱膨張、残りが氷床や氷河の融解によって起きている。

ネレム教授によると、グリーンランドや南極ではすでに氷床が不安定になっている兆候がみられる。今後急速に融解が進んだ場合、海面上昇が2100年までに65センチを超えることも十分考えられるという。

グリーンランドや南極ではすでに氷床が不安定になっている兆候がみられるという
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南極で氷が増減した地域を示す図。NASAは人工衛星を使い、氷塊の変化を測定した
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