トヨタ自動車は20日、電気自動車(EV)の駆動用モーターなどに使われる新型磁石を開発したと発表した。高額のレアアース(希土類)「ネオジム」の使用量を最大50%減らす一方、従来の磁力や耐熱性を維持したのが特徴で、世界初という。今後10年以内に駆動用での実用化を目指す。家電などにも用途が広がるネオジム磁石は、今後価格高騰の可能性もあり、新型磁石で電動車の普及に向けた環境整備を進める。

 現在トヨタのハイブリッド車(HV)「プリウス」の最新型のモーター用磁石には、ネオジムが約3割使われている。新型では、ネオジムを安価なレアアース「ランタン」「セリウム」で代替しても、磁力の強さなどを維持できるよう開発。用途に応じてネオジムの使用量を20〜50%減らせるようにした。

 トヨタは今後、低コスト化などを進め、磁石メーカーに製造を依頼する考えで、駆動用より出力が小さいパワーステアリング向けは、2020年代前半の実用化を目指す。トヨタは30年をめどに、EVなど電動車の販売台数を全体の半数とする目標を掲げており、部品などに使われる希少金属の有効利用が課題となっている。【小倉祥徳】

2018年2月20日 17時39分(最終更新 2月20日 17時53分)
毎日新聞
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