21日未明、長崎湾や薩摩半島南端など、九州各地で海面が大きく上下する「海面昇降」が発生した。気象台や海上保安庁は「潮の満ち引き時に発生すると、船舶などに被害が及ぶおそれがある」として注意を呼びかけている。

 

 長崎地方気象台によると、21日午前1時ごろ、長崎港を中心に海面が上下する「海面昇降」が発生し、同1時20分には昇降の高さが最大130センチ近くに達した。

 

 湾や海峡などで一定の周期で振動が発生する「副振動」と呼ばれる現象で、長崎湾で発生するものは「あびき」と呼ばれている。長崎湾では、最初はごくわずかな波の変化が、次第に増幅されながら沿岸地域に伝わり、湾内に入ると3メートル近い大きな上下運動が引き起こされることがあり、1979年3月31日に最大振幅278センチの海面昇降を記録している。

 

 副振動自体は全国どこの沿岸でも起こりうる現象だが、振幅が大きくなると、急激な潮位の変化や激しい潮流を起こし、港内に係留している船舶が転覆したり、定置網などが流出するなどの被害をもたらす場合があるほか、地盤が低い沿岸地域では、海水が下水道を逆流して道路や住宅地にあふれるなどの浸水被害を引き起こすケースもある。

 

 気象台や海上保安庁によると、鹿児島県南西部の枕崎港でも午前2時半に高さ約90センチの海面昇降が観測されたほか、宮崎県日南市の油津(あぶらつ)港でも、午前5時20分ごろに約80センチの変動が観測されている。

 

 一度発生すると繰り返すおそれがあるとして、海上保安部が九州全域に向けて注意を呼びかけている。

 

 なお、各地のこれからの満潮・干潮時刻は以下のとおり。

 

長崎港 満潮:午前11時12分、午後11時41分、干潮:午後5時43分

枕崎港 満潮:午後10時48分、干潮:午後4時49分

油津港 満潮:午後9時46分、干潮:午後3時40分   

http://hazardlab.jp/know/topics/detail/2/3/23859.html