静岡県警が子どもの性犯罪被害根絶に向けて対策を強化している。スマートフォンの普及に伴いインターネット利用の低年齢化が急速に進み、会員制交流サイト(SNS)をきっかけに犯罪に巻き込まれるケースが後を絶たないためだ。県警は有害サイトの閲覧を制限するフィルタリング機能の利用を保護者に働き掛ける一方、被害の潜在化に警戒を強めている。
 「小学生にもネットは身近になってきている。お子さんが危険な情報に触れないように注意して見守ってほしい」。2日に焼津市立港小であった入学説明会。集まった約100人の保護者に対し、県警の加藤悟少年課長はフィルタリング機能の重要性を強調した。
 判断力が未熟な低年齢期からネットの危険性を認識するには、家庭で子どもと接する保護者の協力が欠かせない。県警は県教委などと連携し、入学説明会や防犯教室などさまざまな機会を通じて啓発に取り組む。携帯電話販売店に対してもフィルタリング機能の利用を推奨するよう要請している。
 県警少年課によると、2017年に児童ポルノ事件の被害に遭った少年少女は過去最多の27人だった。うち7人は小学生で、低年齢化が進んでいる実態が浮かぶ。
 自分の裸を撮影させ、画像を送信させる「自画撮り」被害も深刻だ。SNSで知り合った見ず知らずの男に言葉巧みに顔写真などを送らされ、裸の写真も要求される。拒否すると、相手の態度が急変。「言うことを聞かないと写真をばらまくぞ」などと脅され、困った末に写真を送る―。こんな手口が目立つという。
 表面化する被害は氷山の一角とされ、17年10月に発覚した神奈川県座間市の事件ではSNSが悪用されて女子高校生を含む若者らが犠牲になった。県警の担当者は「啓発活動と取り締まりを両輪で進め、子どもたちの性被害を根絶したい」と話す。

■家庭でのルール大切
 今月1日施行の改正青少年インターネット環境整備法では、スマートフォンやタブレット端末の利用契約を結ぶ際、販売店などの事業者に(1)利用者の年齢確認(2)有害サイト閲覧の恐れがあると説明(3)18歳未満の場合、販売時に無線LANを含むフィルタリング機能の設定―を義務付けた。ただ、保護者が拒否すれば設定は不要。安易なネット利用の危険性から青少年を守るには保護者の目配りが重要になりそうだ。
 県教委の2016年度末の調査によると、県内の小、中学生、高校生らのうち「フィルタリングを利用していない」と回答したのは21・7%に上った。厳しい閲覧制限がかかり、子どもの訴えを受けて保護者が設定を解除する例もあるという。
 県教委の担当者は「スマホを利用する際には家庭でルールを決めることが大切。インターネットの危険性を子どもにしっかりと教えてほしい」と呼び掛ける。

静岡新聞 2018/2/20 17:30
http://www.at-s.com/news/article/social/shizuoka/459953.html