文部科学省の天下りあっせん問題について、前川喜平・前事務次官が毎日新聞の取材に対し、
サーバーに残っていた担当職員のメールが不正の大量発覚につながり、違法認定の決め手となったと証言した。

天下り問題を巡っては、調査対象となった2省庁が「存在しない」との理由でメールを提出しなかった経緯がある。
メール保存の重要性が改めて浮かんだ。

当時次官だった前川氏によると、内閣府の再就職等監視委員会は2016年、文科省元局長が再就職した大学側から、
官僚による違法な天下りあっせんがあったとの証言を入手。
文科省に対し、関与が疑われた同省人事課員が送受信したメールの提出を求め、これらに基づいて17年1月に大学への違法な天下りあっせんを認定した。

監視委は証人喚問や書類提出要求など強い権限を持つ。
前川氏によると「存在するメールを『ない』と言ったら(国家公務員法違反で)処罰される恐れがあった。
担当職員2人のメールを出したら不正行為がぞろぞろ出てきた」という。

メールには、人事課員らが調整役のOBらに幹部の経歴を送っていたことなどが記され、「前川氏に再就職の了解を得た」との記述もあった。

監視委が文科省に全容解明を指示した結果、60件を超える違法行為が認定され、昨年1月に引責辞任した前川氏自身も停職処分が相当とされた。
ただ、あっせんが始まった09年当時のメールなどはほとんど残っておらず、解明が不十分な点も残ったという。

https://mainichi.jp/articles/20180225/k00/00m/010/175000c