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 イタリア総選挙で最大の争点が移民問題です。多くの政党が「反移民」を訴え支持を集める一方で、イタリア社会に移民が深く入り込んでいる現実もあります。

 イタリア・ミラノにあるピザ店。手際よく生地をこね、焼きあげているのはエジプトから来た移民です。本場イタリアでもピザ職人は6割が移民とされ、ミラノでは半分以上の店を外国人が経営しています。

 「私たちのピザはとてもおいしいよ。商売も繁盛している」(ピザ店のオーナー〔エジプト移民〕)

 しかし・・・。
 「イタリアは移民のせいで治安がとても悪い」(ミラノ市民)
 「移民はすぐに彼らの国へ帰すべきだ」(ミラノ市民)

 「移民が治安を悪化させ、仕事を奪っている」と、反発が強まっています。日本時間の午後3時から投票が始まったイタリアの総選挙では、与党・民主党を含む中道左派が伸び悩む中、不法移民の国外追放を訴える中道右派連合や、五つ星運動が支持を広げています。ただ、「移民はいらない」と簡単に割り切れない現実があります。

 イタリア南部のシチリア島。アフリカや中東からヨーロッパに入る最前線で、年間およそ10万人が押し寄せています。島の中央にある収容所にはおよそ4000人が難民認定を待っていますが、認定に1年以上かかるケースが多く、生活苦からオレンジの収穫など低い賃金で働く人が後を絶たないと言います。

 「友人がオレンジ農場で働いたと聞いた。仕事がきついのに、とてもお金が安いと。でも他に選択肢がないんだ」(難民認定を申請中のナイジェリア人)

 さらに、難民認定されずに「不法移民」として島に残った人々の状況は深刻です。

 「こうした場所で彼らは寝泊まりしているということなんですけれども、衛生状態も悪く、かなり劣悪な環境で暮らしていることがわかります」(大八木友之記者)

 街の外れの廃墟に、およそ100人のアフリカ系移民が身を寄せています。

 「1日10時間以上働いて25ユーロ(約3300円)しかもらえない。私たちは動物のように扱われている」(チュニジアから来た不法移民)

 電気や水道もなく、時折入る農作業の仕事で何とか食いつないでいるのが現状ですが、それでも国に帰るよりはましだと言います。

 「増える移民に目をつけたマフィアが、安い労働力として搾取している」と、移民の支援者は非難します。

 「移民がイタリア人の仕事を奪っているというのはうそだ。彼らはこの国の農業に大きく貢献している」(農業事業者組合のロッコ・アンツァルディさん)

 かつて移民として多くの人がアメリカなどに渡ったイタリア。自らの国に来た移民にどのような答えを出すのか、難しい選択にせまられています。(04日13:59)