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3月6日 4時33分
この冬の全国的な低温と日本海側を中心とした記録的な大雪について、気象庁の検討会は、「ジェット気流」の蛇行や、北極の冷たい空気を伴った「極渦」と呼ばれる大規模な低気圧の南下など、複数の現象が重なったことが要因だとする見解をまとめました。

気象庁によりますと、去年12月から先月末までのこの冬は、全国的に気温が低くなり、特に西日本の平均気温は平年を1.2度下回りました。
これは平年を2.1度下回った昭和60年から61年にかけての冬以降の32年間で最も寒くなりました。

また、福井市で先月7日に積雪が1メートル40センチを超え、37年前の「昭和56年豪雪」以来となる記録的な大雪となるなど、日本海側を中心に各地で積雪が多くなりました。

これについて、気象庁は5日、専門家などで作る検討会を開き、この要因について分析しました。
それによりますと、上空を流れる2つのジェット気流「寒帯前線ジェット気流」と「亜熱帯ジェット気流」がいずれも日本付近で南に蛇行したため、これに沿うように北から強い寒気が流れ込み、冬型の気圧配置が強まったということです。
このうち「亜熱帯ジェット気流」の蛇行は、南米沖の太平洋の海面水温が低くなる「ラニーニャ現象」が影響している可能性があるとしています。

さらに、北極の上空で発生し、冷たい空気を伴う「極渦」と呼ばれる大規模な低気圧が、ジェット気流の蛇行に伴って日本付近に南下したことも影響したとしています。

このため検討会は、この冬の低温と記録的な大雪は、こうした複数の現象が重なったことが要因だとする見解をまとめました。

「異常気象にはあたらず」

検討会の会長を務める東京大学の中村尚教授は「『極渦』の日本付近への南下は、ことしは頻度が多かったし、ジェット気流の蛇行も重なって、記録的な大雪などが発生し、社会的に大きな影響が出た。一方で、『平成18年豪雪』のときは、上空の大気の循環や寒さも相当なものだったが、この冬は、そこまでは至っていない」と述べました。
このため検討会は、この冬の低温と大雪は、「異常気象にあたる」という判断は示しませんでした。