ところがフランスは、開発機に艦上機の性能を持たせることと自国製のエンジンの使用を要求したため、仕様の相違を理由に1985(昭和60)年に共同開発から脱退します。そして自国での開発を進めた結果、完成したのが「ラファール」です。1986(昭和61)年に初飛行を行い、2000(平成12)年には実戦配備されました。「ユーロフファイター」と外見がよく似ているのは、共同開発のデーターを活用したからだといわれています。

■かくて欧州機は独特の形状へ

 一方の「ユーロファイター」ですが、1994(平成6)年には初飛行を行い2003年には引き渡しが開始されます。イギリスとスペインでは「タイフーン」とも呼ばれますが、イタリアとドイツでは第二次世界大戦で攻撃を受けたホーカー「タイフーン」を連想させるため、単に「ユーロファイター」と表記しています

水平尾翼を持たないスタイルの「ユーロファイター」(
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そしてスウェーデンでは、「グリペン」が1988(昭和63)年に初飛行を行い、1996(平成8)年には運用が開始されます。

 こうしてヨーロッパでは、アメリカやロシアの大型戦闘機とは異なる、この独特の戦闘機の形状が主流となりました。

 ただしアメリカやロシアでもカナード翼機の研究はなされており、ロシアではSu-27に通常の水平尾翼とカナード翼を備えたSu-35を実用化しています。一方のアメリカでは実験機は作られたものの、カナードがステルス性を損なうという理由で実用化はされていません。

■新機種開発の動向は…?

 カナード+デルタ翼が主流を占めるヨーロッパですが、これからはどのような戦闘機が開発されていくのでしょうか。

スウェーデンの「グリペン」。「ユーロファイター」や「ラファール」とは異なりエンジンは単発
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 まずいまの主力機に足りないステルス性能ですが、これは順次F-35の導入が進められています。

 そして各国の新機種開発ですが、もともとヨーロッパの戦闘機開発は共同開発が多く、政治的な利害関係が影響しており、イギリスとフランスが共同開発した「ジャギュア」、イギリスと西ドイツ、イタリアの共同開発した「トーネード」などが一例だといえます。また、スウェーデンのように軍事的中立を保つ国は独自開発に力を入れています。

 イギリスがEUを脱退するため、フランスとドイツが共同開発を検討しており、これによりイギリスはアメリカとの新たな提携を結ぶのではといわれています。

 今後、どのようなコンセプトが提案されるのか注目したいところです。

おわり