福岡県警 電子マネー詐欺2拠点摘発 「かけ子」も練習
毎日新聞2018年3月6日 08時30分(最終更新 3月6日 08時30分)
https://mainichi.jp/articles/20180306/k00/00m/040/144000c

 福岡県警が昨年10月〜今年2月、プリペイドカード式の電子マネーをだまし取る特殊詐欺グループの北九州市の拠点2カ所を摘発していたことが捜査関係者への取材で分かった。特殊詐欺グループの拠点は首都圏に集中しているため九州での摘発は異例。このうち1カ所は被害者をだます電話をかける「かけ子」の練習拠点にも使われており、県警はかけ子の男女数人を詐欺容疑で逮捕して組織の実態解明を進めている。

 捜査関係者によると、県警は昨年10月ごろ、同市小倉北区の短期賃貸マンションを特殊詐欺グループが使っているとの情報を得て捜査に着手。かけ子とみられる男女3人の出入りを確認し、かけ子にだましの手口を説明するマニュアルを手に入れた。かけ子が出したゴミ袋からは、電子マネーのID番号が記されたメモが見つかり、被害者がだまし取られたと申告した番号と一致。県警は2月末までに身元や所在が確認できた一部を詐欺容疑で逮捕し、残るメンバーの行方を追っている。

 さらに、県警は新たに同市小倉南区の賃貸マンションが、かけ子が詐欺のためにかける電話の練習拠点に使われているとの情報を入手。小倉北区のマンションを拠点にしたかけ子が利用した可能性もあるとみて2月中旬に家宅捜索したところ、このマンションでも詐欺のための電話がかけられていたことが判明し、出入りしていた男を詐欺容疑で逮捕した。県警はグループが複数の拠点で組織的に詐欺を繰り返す一方、かけ子を育成していたとみて調べている。

 警察庁によると、2017年に摘発された特殊詐欺の拠点は、前年比11カ所増の68カ所で過去最高。東京都が45カ所で最も多いなど関東地方に集中しており、九州での摘発はなかった。【志村一也】