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つえだけを扱う専門店「つえ屋」(京都市中京区)が、特異なビジネスモデルで注目を集めている。
抱える在庫は約9千種類18万本。全国で直営店舗やフランチャイズ店、催事販売を展開する。
超高齢化社会のニーズをつかみ、2006年の開業時に約1千万円だった年商は2億円を超えた。
坂野寛社長(58)は「4年後の上場を目指す」と意気込む。
 
傘に見えるカムフラージュつえに、LED(発光ダイオード)ライト内蔵のつえ、蒔絵(まきえ)を施した高級品。
つえ屋の店内には多彩な商品が並ぶ。価格帯も1本約5千円〜約260万円と幅広い。売れ筋は2〜3万円の
花柄で、坂野社長自らがデザインしている。手の大きさや握力の違いに対応できるよう持ち手部分だけで
約400種類をそろえる。
 
最近の新商品は「天国のつえ」。自らが亡くなった後、遺体とともに愛用のつえをひつぎに納めたいという
お年寄りらの要望に応えるため、火葬時の副葬品として認められるよう、金属を使わず木だけで作り上げた。
現在は階段用に伸び縮みするつえも開発中だ。
 
坂野社長は「つえの地味なイメージを変えたい。在庫と種類がこれだけ多いと、結果的に競合も生まれにくくなった」と話す。
 
同社は、介護用の住宅リフォームなどを手掛けていた坂野社長が「誰もやっていない事業を」と中京区の
丸太町通沿いで創業した。当初はファッション性を重視したつえを販売していたが、自身が09年に目の難病を
患ったのを機に、使い手のニーズをつかむ商品開発を心がけるようになった。「つえは体だけでなく、心も支えると
分かったら、急に売れ出した」と振り返る。
 
商品の種類が増えると在庫を置く場所が足りなくなり、倉庫兼用と考えて年1〜3軒のペースで出店を拡大してきた。
現在は、京都市内6店舗を中心に東京、大阪を合わせて11直営店がある。改装費をあまりかけず、店舗によって
営業日数を限るなど効率的な経営をし、一定の利益率を確保しているという。
 
百貨店での催事販売も、重要な販路だ。全国各地で年間約150回開くほか、中国や台湾、シンガポールなど
海外にも足を運ぶ。
 
坂野社長の目標は4年後に直営店を25店舗、フランチャイズを20〜30店舗に増やし、年商5億円にすることだ。
欧米や中国への本格的な進出も視野に入れている。「高齢化でつえの市場は拡大している。専門店の質と量で
ファンを作っていきたい」と意気込んでいる。


新しく開発した「天国のつえ」を手にする坂野社長。多彩な品ぞろえで売り上げを伸ばしてきた
(京都市中京区・つえ屋京都丸太町本店)
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