※たまたまスレです

心斎橋や道頓堀など大阪の繁華街ミナミは、今や訪日外国人たちの定番の観光スポットだ。かに道楽やグリコの看板などコテコテの「大阪」が楽しめるからだろうか。特にこの2、3年は、韓国からの若い観光客が目立つ。韓国観光公社大阪支社長の李丙賛(イ・ビョンチャン)さん(52)も「ソウルの街角かと錯覚するほど増えた」と驚く。格安航空会社(LCC)の増便や円安ウォン高の後押しもあるが、韓国の若者をミナミに向かわせる理由は何か。李さんに聞いた。(今村義明)

実際、大阪を訪れる韓国人客は増えている。大阪観光局の推計では平成29年に来阪した外国人客のうち韓国人は241万人で、中国人(402万人)に次いで2位。だが増加率では53%と中国人客(8%)を大きく上回っている。

李さんは2度目の大阪勤務で、こうしたデータを肌感覚で感じ取っているという。前回は平成13(2001)年9月から2年9カ月間、大阪で生活した。それが昨年1月に大阪支社長として再び赴任すると、まったく様変わりしていた。

「ミナミの繁華街を歩く韓国の若者の多さに驚いた。男女を問わず、グループや個人で、いずれも旅慣れている。明洞(ミョンドン)などソウルの街角と錯覚するほどだった」

李さんは韓国人の若者たちがミナミに集まる背景について「韓国国内の日本ブーム」を挙げる。特に「日本食」は外せないキーワードだ。ラーメン、寿司、お好み焼き、たこ焼き、各種スイーツ…。言うまでもなく、お好み焼きやたこ焼きは大阪の“ご当地グルメ”で、韓国の若者はネット検索などでミナミのおいしい店の情報を仕入れる。

ソウルなどでも専門店は増え始めているが、李さんは「やはり本場の味を求めて、(韓国に)近くて価格の安いミナミにやってくるのではないか。評判の回転寿司店なら長い行列に並んでも食べたいと思うはず」と分析する。

韓国では日本の漫画やアニメも人気だという。「ワンピース」「名探偵コナン」「ドラえもん」…。数多くの作品が韓国語に翻訳されて出版。映画化やテレビ放映もされているという。昨年5月には、韓国紙の朝鮮日報が韓国国内における日本のアニメへの関心の高さを伝えている。

李さんは「最近では日本語のオリジナルを求めるファンも増えており、原作の書籍や映像をそろえた専門店が多いミナミの日本橋はあこがれの街。その関連グッズを含めたショッピングが最近の流行になっている」と指摘。日本橋は韓国の若者にとっても“聖地”となっている。

来阪する韓国人客が急増している背景には、「円安ウォン高」と「格安航空会社(LCC)の増便」もある。大阪観光局のまとめでは2月現在で、韓国と関西国際空港を結ぶ週353便のうち251便をLCCが占めている。

李さんは「羽田、成田の合計便数の約2倍という経済性と利便性。また、仁川(インチョン)から関空までは約1時間半で、東京に比べて短時間で来られる。韓国の若者の平均的な旅行日程2泊3日を考えると、大阪は安くて近い、安全な海外といえる」と強調する。そしてミナミの中心地・難波は、大阪の中でも関西の各都市とのアクセスが特に良い。奈良や神戸、和歌山とは電車一本で結ばれているのだ。

「SNS」というキーワードもある。李さんは「ミナミはブログやインスタグラムによるオンライン情報の発信地になっている」と話す。

「ミナミの路地に隠れたしゃれたカフェや居酒屋を韓国の若者はスマホを片手に訪ね、さらにその情報をSNSにアップする。パッケージツアーにない自由な旅行をまるで韓国の国内を歩くように楽しんでいる」と李さん。

そして「声が大きく言葉はきつく感じられても、大阪人の思いやりやおもてなしの精神は韓国でも有名で、韓国とミナミはますます近い街になっている」と語った。

【用語解説】韓国観光公社

1962年、観光振興を目的に設立された半官半民の法人「国際観光公社」が前身。韓国の観光地の開発や外国人観光客誘致、国際会議招致などを担い、世界21カ国に28支社・4事務所を置く。日本国内には東京、大阪、福岡に支社があり、旅行会社を中心に観光、修学旅行に関する情報を提供。公式サイトのほか、ブログやツイッターでも情報を発信する。大阪支社は大阪市中央区城見2の1の61 ツイン21MIDタワー23階 

2018.3.15 12:11
産経WEST
http://www.sankei.com/west/news/180315/wst1803150040-n1.html