<伊賀>市職員、個人情報648人分渡す 自治協議会長に
3/16(金) 7:00配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180316-00000004-mai-soci

 三重県伊賀市の職員が、市営住宅に入居する648人の氏名や家賃の支払い状況などの個人情報が記載された資料のコピーを地元の住民自治協議会長に渡していたことが分かった。市個人情報保護条例は、本人が同意した場合や生命保護で緊急を要する場合などを除き個人情報の外部提供を禁じている。

 市によると、建築住宅課の40代男性職員が昨年12月18日、市内の公民館で住民自治協議会長の男性に、関係する地域の市営住宅(集合住宅)の入居配置図26枚をコピーして渡した。そこには、入居する648世帯の世帯主の氏名▽部屋番号▽電話番号▽家賃の支払い状況が記され、家賃の状況は「未納」「分納」などとあった。

 職員は市営住宅の修繕を担当し、配置図を持ち歩いていた。コピーしているところを目撃した同僚が上司に報告し、職員は同21日に回収しようと会長を訪ねたが、「シュレッダーにかけた」と言われた。職員は市の聞き取りに「『自治会活動で住民を把握するため配置図をコピーさせてほしい』と求められた。いけないことと分かっていたが断れなかった」と説明している。

 同課の川瀬正司課長は毎日新聞の取材に「市民に申し訳ない。あってはならないことで再発防止に努める」と陳謝した。発覚後、配置図の庁舎外持ち出しを禁じたが、情報流出が確認されていないため職員の懲戒処分は検討していないという。

 個人情報保護に詳しい岡村久道弁護士は「家賃の不払いが周囲に知られると、与信審査やローン契約で不利益につながることも考えられる。不明瞭な根拠で個人情報が出ていくことは住民にとって苦痛であり、市に猛省を促したい」と指摘した。【井口慎太郎】