http://www.afpbb.com/articles/-/3167741

2018年3月17日 6:21 発信地:日本
【3月17日 時事通信社】ロシアのラブロフ外相のインタビュー全文は次の通り。

 −日ロ外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)を信頼醸成の手段としてどう評価するか。協力の見通しは。

 重要なパートナーたちが、外相と国防相の同時協議に関心を持つことはうれしい。2プラス2の枠組みは、日本との間だけに設けているわけではないが、非常に包括的かつ建設的なもので、軍事・政治的な安全保障問題を議論できるだけでなく、あらゆる地域のさまざまな緊張状態の解決策を議論できる。また議論だけでなく、十分に具体的かつ実用的な決定も下せる。なぜなら、外相同士で会談すれば、軍事面を考慮するため時間を要してしまうし、防衛相同士で会談しても外交面を考慮しなければならなくなる。外相と防衛相が2プラス2の枠組みの下、一つのテーブルに向かい合えば、すべての問題について、遅滞なく議論できるだけでなくすぐに決定を下せる。日本がこの枠組みの再開を提案したことを評価する。1年前、私とショイグ国防相が東京を訪れ、今は日本の同僚すなわち外相と防衛相の(ロシア)訪問日程を調整中だ。われわれは満足している。ロ日関係に全く関係ない周知の原因(ウクライナ危機)でこの枠組みが中断してしまった時代が、過去のものとなったからだ。

 ロシアとこの枠組みを設けた諸外国も(日本と)同様に振る舞うことを期待する。何より欧州諸国のことだ。欧州諸国も実は、この枠組み再開に関心を取り戻し、協力のチャンネルの凍結が近視眼的かつ非建設的で当事者に有害なものだと理解している。−安倍晋三首相はロシアに対し、協力やビジネス交流のさらなる拡大を目的として、いわゆる8項目の協力プランを提案した。ロシアと日本が信頼を醸成して関係を強化し、最も困難な問題、すなわち領土問題と平和条約問題の解決に寄与する可能性がある。一方、日米安保条約の存在があり、米国は日本領内に基地を置くことができる。この二重構造をどう考えるか。あと、プーチン大統領は先の年次教書演説で、新型兵器を公開し、米国のミサイル防衛(MD)を無力化すると豪語した。これは、日本およびその周辺における米国のMD配備に対するロシアの懸念を軽減することにつながるか。

 質問の前半について。南クリール諸島(北方領土)での共同経済活動に関する文書は、貿易・経済・投資協力をベースにまとめられ、プーチン大統領と安倍首相の合意を実行に移すと明記されている。一方で、はるかに広範なものとしてロシアが作成した優先プロジェクトがあり、安倍首相が提案したいわゆる8項目の協力プランもある。これらは既に、多分野における協力発展に向けた動きの基礎を成している。これらイニシアチブの大半は既に良好な結果を生んでいると言える。これが日本の利益にかない、貿易高も着実に増加することを望む。私の訪日時の外相会談では、次回のロ日首脳会談でどの提案を取り上げるかを検討する。現在、経済協力の発展・深化に関する両国のチャンネルで、われわれが特に注視しているのが四島における共同経済活動だ。

 日本側にある安保条約の問題について。私の誤解でなければ、日本は対米関係において1960年以降、もちろん独立国であり、基本的な外交・防衛政策を独自に決定している。これは、どのような条件の下で日米同盟が機能しているかという問題に深く関わる。だから指図はできないし、いずれにせよ要求や最後通告を突き付けるのはわれわれのやり方でない。しかしながら、日本の友人に率直に伝えているように、軍事分野・計画における日本と米国の関係は、日本列島および韓国における米国のグローバルMDアジア部分の配備を通じて具体化し、ロシアの国家安全保障に直接の影響を及ぼしている。指摘の通り、プーチン大統領は3月1日の年次教書演説の中で、改めて約15年前からの出来事を強調した。(2004年に)米国が弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約を脱退し、われわれは再考を促すとともにミサイル防衛共同研究の枠組みを構築しようとを試みたものの、すべて無駄に終わった。米国のすべての行動を通じ、このグローバルMDがイランや北朝鮮の脅威に対処するためではなく、ロシアを完全に包囲するために構築されていると確信した。ロシア軍の評価によると、このMDは実際、われわれの戦略核抑止力の低減を企図している。だからこそ日本の友人には正直に伝え、説明している。両首脳の合意に基づき、両国関係のとげをすべて取り除き、協力を強化して戦略的で友好的な関係を拡大するために、またこの目標に向けて前進するために、こうした問題を検討しなければならない。両国関係における問題を除去する問題、われわれにとっての脅威となっている米MDが日本領に存在する問題だ。
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