https://jp.reuters.com/article/facebook-cambridge-analytica-kogan-idJPKBN1GY0OP

2018年3月22日 / 08:45 / 13時間前更新
Denis Pinchuk and Douglas Busvine

[モスクワ/フランクフルト 21日 ロイター] - フェイスブック利用者約5000万人の個人情報が不正流出したスキャンダルの中心人物とされる英ケンブリッジ大の心理学者は、ロシアの研究者と、病的な人格の特徴に関する共同研究を行っていた。

この心理学者アレクサンドル・コーガン氏は、心理学分野で「邪悪な人格特性(ダークトライアド)」と呼ばれる精神病質やナルシシズム(自己愛)、マキャベリズム(権謀術数主義)といった性質が、インターネット上での他者に対する虐待的行動と関連があるかを調べているロシアにあるサンクトペテルブルク大の研究チームに助言していた。

「われわれは、ネット上の怪物を特定したかった。こうした怪物に悩まされている人々の助けになりたいと考えた」と、サンクトペテルブルク大のヤニナ・ルドバヤ上級講師はロイターに語った。

ケンブリッジ大講師のコーガン氏は、フェイスブック上の心理テストを使って集めた利用者の個人情報を、英データ会社ケンブリッジ・アナリティカ(CA)に売り渡したとして批判を浴びている。コーガン氏は、配偶者の姓であるスペクターを名乗ることもある。

フェイスブックによれば、約27万人がこの心理テストを提供するアプリをダウンロード。このアプリは、利用者に通知したり同意を得ることなく、全てのフェイスブック上の「友人」についてのデータも収集していた。コーガン氏は、こうして集めたデータをCAに提供していた。

CAは16日、コーガン氏がフェイスブックの利用規約に違反していたことを当初は知らず、その事実を把握した2015年にデータを消去したと説明。だが米紙ニューヨーク・タイムズと英誌オブザーバーはデータは消去されていなかったと同日報じている。

2016年の米大統領選でトランプ陣営を支援するターゲティング広告に、このデータを活用したと語る、CAのアレクサンダー・ニックス最高経営責任者(CEO)の隠し撮り映像が、英チャンネル4ニュースで20日放映された。

このスキャンダルの拡大によって、ニックスCEOは20日、停職処分となった。その一方で、フェイスブック株価の急落により、500億ドル(5兆2500億円)近くの時価総額が吹き飛んだ。

食料安全保障から麻薬対策、選挙戦まで幅広く手掛ける政府コントラクターであるSCLグループ傘下のCAは、2013年ごろ創立。

当初は米国の選挙戦を専門としており、トランプ氏の大口献金者だった富豪ロバート・マーサー氏や、側近だったスティーブ・バノン氏が推薦した人物から、約1500万ドル(約16億円)の資金援助を受けたと、ニューヨークタイムズ紙が報じている。

サンクトペテルブルク大との共同研究についてコメントを求めたが、コーガン氏は応じなかった。同氏は21日、英国放送協会(BBC)に対して、自分はフェイスブックとCAから責任を押し付けられていると訴えた。CAは、同大とは関連がない。
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