https://jp.reuters.com/article/japan-2017-stock-price-idJPKBN1H60N0

2018年3月30日 / 10:10 / 5時間前更新
[東京 30日 ロイター] - 2017年度(16年4月─17年3月)の日経平均株価.N225は13.46%の上昇となった。年度での上昇は2年連続。対ドルでは約5円の円高となったが、企業業績の拡大に連動した素直な株高になっている。ただ、需給的にみれば、海外勢と個人投資家の売りを日銀と企業の買いが吸収するややいびつな構図も浮かび上がる。

<EPS拡大が株高の原動力>

TOPIXの年度上昇率は13.47%高。米ダウ.DJIの16.64%高(29日まで)や香港ハンセン総合指数.HSIの24.80%高を下回ったが、韓国総合株価指数.KS11の13.22%高とほぼ同水準。2.69%安となった欧州STOXX600種と比べると、好パフォーマンスとなった。

日本株の上昇は企業業績の拡大が原動力だ。昨年3月末に111─112円台にあったドル/円JPY=は、足元で106円台まで下落しているが、企業業績は順調に増加。日本経済新聞社が公表する予想PER(株価収益率)から算出した予想EPS(1株利益)は3月29日時点で約1687円と、前年度末比38%増となっている。

<海外勢と個人が約7.4兆円の売り越し>

ファンダメンタルズでみれば素直な株高だが、需給的にみればやや歪みもみられる。業績拡大を評価するはずの海外勢や個人投資家が売りに回り、公的部門である中央銀行の買いが売りを吸収する構図になっているためだ。

17年度の海外投資家の日本株売買の累計額はまだ明らかになってないが、3月第3週までの累計では約3兆6900億円の売り越し。昨年12月末までは約4兆0900億円の買い越しだったが、今年1月第2週から直近の週まで11週連続で売り越し、累計約8兆4700億円の巨額の売りを日本株に浴びせている。

国内の個人投資家も大幅な売り越しとなった。年度の累計売り越し額は約3兆7700億円。「株高が進む中で早めの利益確定売りを出したようだ」(国内証券)とみられている。海外勢と個人投資家を合わせると約7兆4600億円の売り圧力が日本株に加わった。

<日銀と企業が約7.8兆円の買い越し>

一方、日銀による17年度のETF購入額(設備投資・人材育成企業支援型を含む、3月29日まで)は6兆1717億円。株価が調整局面に入った直近2カ月では年間購入額の4分の1近くに相当する1兆4397億円を買い入れ、全体相場を下支えした。

国内企業の自社株買いも需給面ではプラスに寄与した。持ち合い株の解消売りを上回り、事業法人による日本株の買い越し額は3月第3週まで現物と先物合計で約1兆6600億円となっている。

日銀と事業法人の買いの合計額は7兆8300億円となり、両者が海外勢と個人の売りに買い向かう構図となった。

<小型・グロース株優位>

指数別では、TOPIX Small.TOPXSが21.35%高。日経ジャスダック平均.NOTCが30.80%高となり、小型・新興株指数の上昇が顕著となっている。

また連結PBR(株価純資産倍率)の高い銘柄が集まるように構成銘柄の選定をしたTOPIXグロース.TOPXGは18.06%高。対照的にPBRの低い銘柄が多いTOPIXバリュー.TOPXVは9.03%高にとどまった。16年度はTOPIXバリューの上昇率が高かったが、逆転した。

ちばぎんアセットマネジメント調査部長・奥村義弘氏は18年度について「EPSが足踏みする懸念がある。政治面での不透明感もあり、引き続き成長性の高い個別銘柄が選好されそうだ」との見方を示している。