トランプ米大統領は更迭したマクマスター大統領補佐官(国家安全保障問題担当)の後任に、北朝鮮やイランへの強硬姿勢で知られる共和党タカ派の代表格、ボルトン元国連大使を指名した(9日付で就任)。この人事をリベラル系米紙は「危険」と強調、仏誌はトランプ外交の一貫性欠如の表れと批判した。一方、イスラエル紙は「(自国の)ネタニヤフ首相にとっては歓迎すべき変化だ」と指摘した。

■戦争に向かわせる危険人物 ニューヨーク・タイムズ(米国)

リベラル系の米紙ニューヨーク・タイムズは3月24日付で「ジョン・ボルトンは本当に危険だ」とする社説を載せた。

同紙は、「ボルトン氏ほど、米国を戦争に向かわせる人はいない。彼の任命はトランプ大統領がこれまで行った中で、最も憂慮すべき判断だ」と危機感を強調。また「国際法や条約、前政権での政治的誓約を考慮することなく、米国はやりたいことができるのだと信じている」と、その政治姿勢を批判した。

さらに北朝鮮への先制攻撃や、イランの核施設に対する空爆などを主張してきたボルトン氏を「外交を著しく軽視し、軍事的解決を好んできた」と指摘。対北外交では、軽水炉と重油の供与を受ける見返りに北朝鮮が黒鉛減速炉の開発凍結を約束した1994年の「米朝枠組み合意」を挙げ、「彼ほど合意を破滅させるために懸命に取り組んだ人はいない。合意の破棄は、20個以上の核兵器を持つとされる北朝鮮の今日の状況を作り出した」と“戦犯”に位置づけた。

国家安全保障問題担当の大統領補佐官は、国務省、国防総省を含むすべての国家安全保障機関の見地を集め、大統領に進言する重要なポジションであると記したうえで、「ボルトン氏が公平な仲介者になるとは考えにくい。邪魔者とみなした人間を締め出し、官僚的な争いに勝利するために立ち回る」とも批判。北朝鮮問題の解決に向け、「米朝対話は試されるべきだ」と主張し、「北朝鮮との微妙な時期において、ひどい決断だ」とボルトン氏の任命を嘆いた。

一方、保守系の米紙ウォールストリート・ジャーナルはボルトン氏を「手堅く、経験豊富な人材だ」と評価。ブッシュ政権(子)で北朝鮮の核兵器関連物資の密輸阻止を狙った「大量破壊兵器拡散防止構想(PSI)」を始動させた実績を紹介し、「非難は、ボルトン氏の考えや経験を誤解するものだ」と反論した。(ニューヨーク 上塚真由)

■ネタニヤフ首相には歓迎すべき変化 ハーレツ(イスラエル)

イスラエルの有力紙ハーレツ(電子版)は3月25日の解説記事で、米国のマクマスター大統領補佐官の後任に対イラン強硬派のボルトン元国連大使が指名されたのは、イラン核合意見直しの交渉期限である5月12日が迫る中で「トランプ大統領が同合意からの撤退を検討していることを示唆している」と分析。「イランには悪いニュースだが、(イスラエルの)ネタニヤフ首相には良いタイミングだ」と指摘した。

記事は、これまでのトランプ政権は「混乱と即興(的な振る舞い)、長期的計画の欠如によって特徴付けられてきた」とする。この見方は、トランプ氏との関係が良好なイスラエルにおいても例外ではない。

しかし、そんな印象も、ティラーソン国務長官の後任にポンペオ中央情報局(CIA)長官が、マクマスター氏の後任にボルトン氏がそれぞれ就けば、「大きな変化」が生まれるかもしれない、というのが記事の見立てだ。特にボルトン氏は、イスラエルでは「自分の考えを実行に移すことができる、行動の人」とみなされているといい、だからこそ、米政権の政策に一貫性が生まれると期待できる。イランを脅威とみなすネタニヤフ政権にとっては、米国の対イラン政策が強硬路線に傾くのは歓迎すべき変化というわけだ。

2018.4.2 07:10
産経ニュース
https://www.sankei.com/entertainments/news/180402/ent1804020004-n1.html

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