いらなくなった携帯電話などの小型家電を回収し、部品の金属から2020年東京五輪・パラリンピックのメダルを作る「都市鉱山からつくる! みんなのメダルプロジェクト」で、回収が思うように進んでいない。

 大会組織委員会と環境省は3月下旬から、全国約3000か所の郵便局に携帯電話の回収ボックスを置くなど対策の強化に乗り出している。

 携帯電話などの小型家電には金、銀、銅のほか、様々な希少金属が使われていることから、「都市鉱山」とも呼ばれている。プロジェクトでは、不用になった携帯電話やデジタルカメラなどを回収。部品の金属から不純物を除去し、金、銀、銅を抽出して、東京五輪・パラリンピックの全メダル、約5000個を作ることを目指している。日本の優れたリサイクル技術を世界に知らしめようと、組織委と環境省が企画した。メダルの一部にリサイクル金属を使った例は10年冬のバンクーバー五輪などでもあったが、リサイクル金属だけを使ってメダルを作るのは、五輪史上、20年の東京五輪が初めてとなる。

 しかし、回収状況は芳しくない。組織委によると、5000個のメダルを作るためには携帯電話に換算して数千万台が必要で、組織委は昨年4月から、全国の自治体の庁舎やNTTドコモの店舗など約9000か所に回収ボックスを設置している。ところが、全国のNTTドコモの店舗で回収された携帯電話は今年1月末で約266万台にとどまり、回収した他の小型家電を合わせても、金、銀、銅の必要量計8トンを下回っているという。

 組織委の担当者は「リサイクル行政の支援団体などとも話し合った上で回収量の目標を設定しており、不可能ではない数字だと思っている。ただ、まだ周知が足りていない」としている。

 回収量を増やすため、組織委と環境省は日本郵便と連携し、3月28日から、全国の郵便局に携帯電話の回収ボックスを設置。同じ日に都内でイベントも開催し、シドニー五輪競泳の銅メダリスト田中雅美さん(39)が「アスリートだけでは五輪はできない。皆さんもぜひ参加してください」と協力を呼びかけた。

 組織委は来年3月末までに必要量の確保を目指しており、今後、東京商工会議所からも協力を得て、回収拠点を増やすことを検討している。

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